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元五輪水泳代表のなれの果て、バイトと漁で一家養う


ニュース 社会 作成日:2009年7月7日_記事番号:T00016428

元五輪水泳代表のなれの果て、バイトと漁で一家養う

 
 台南公園のボート乗り場に、利用客の安全を守るため、救命具を渡したり、ボートの乗り降りを手助けする男性がいる。この仕事は1年契約のアルバイトで、月給は2万7,000台湾元。3人の子供を抱える一家を養うには少な過ぎるため、夜になると酸素ボンベを背負って海に潜る。捕れた魚やエビを、レストランや知り合いに売って家計の足しにするのだ。

 この男性がかつて水泳界で「蛙王(平泳ぎの王様)」とまで呼ばれた元オリンピック台湾代表、蔡心厳さん(38)だということを知る人は少ない。

 蔡さんは15歳のとき、競泳男子100メートル平泳ぎで1分07秒70の台湾記録を出したのを皮切りに、数々の新記録を樹立。88年のソウル五輪、90年北京アジア大会にも出場し、後者では第4位の成績を残した。同年米国で出した1分03秒78は、現在でも台湾最高記録として破られていない。

 蔡さんは、もともと大学への推薦入学が確実視されていたが、制度改正でかなわなくなり、最終学歴は台中体育専科学校卒だ。これまで水泳コーチや救助員、ガスボンベの配達人、水道会社の日雇いなど職を転々。現在のアルバイトは、蔡さんが台南市消防局のボランティア救助員だったことから、今年初めにやっと見つけた仕事だそうだ。

 「台湾のために貢献したのに、スポーツ界を引退した後は政府からの援助もない」と不満もあるようだが、低学歴やカッなりやすい自身の性格も、仕事が長く続かない理由だと自覚している。

 「年齢を重ねて性格もずいぶん丸くなり、人に謝ることもできるようになった」と話す彼は今年、真理大学麻豆校区の運動事業経営管理学科を受験し合格した。学歴不足を補い、安定した仕事を手に入れることが願いだ。