6月の消費者物価指数(CPI)は前年同月比で1.97%下落し、過去39年で最大の下落幅となった。比較対象の昨年6月が4.97%の高い上昇率だったため下落幅がより大きくなった面はあるものの、行政院主計処が物価動向の調査対象にしている424品目のうち、前年同月比で物価が下落したものは59%と過半を占め、値上がりの38%を大きく上回った。主計処は、給与減少や失業増加に伴う購買力の低下が依然続いているとして、今年いっぱいデフレ圧力が続くという見通しを示した。7日付工商時報などが報じた。
主計処が6日発表した6月のCPIは104.09ポイント(2006年を基準値=100とする)で、6カ月連続で前年比マイナスとなった。なお、前月比では0.1%の下落だが、季節調整後の数値は0.13%の上昇。1~6月のCPI下落率は0.43%で、特に商品類の下落率が1.55%と大きい。
6月に価格下落が目立ったのは衣類の3.08%、アパレル価格がセールによって4.89%下落した影響が大きかった。食物類も供給が豊富な果物価格が12.81%下落した影響で、1.64%下がった。
主計処によると、品目別では外食費や海外ツアー料金などで下落が目立つ。外食費は今年1月以降、6カ月連続で下落が続いている。海外ツアー料金の下落は、新型インフルエンザ(H1N1)の影響もある。また、パソコン、テレビ、デジタルカメラなどのコンシューマ向け電子製品も値下げセールが相次いでおり、CPIを押し下げる原因となっているという。
主計処は、台湾域内の景気が依然回復していないこと、および昨年の数値が高かったことから、CPI上昇率は年内は低水準が続くとの見通しを示した。
WPI下落幅、過去最大
企業間の商品取引および輸出入品の価格指数、卸売物価指数(WPI、同じく2006年を100とする)は101.21ポイントで、前年同月比の下落率は過去最大の13.62%となった。
主計処によると、金属、原油などの資源や小麦、大豆、トウモロコシなどの基幹食糧品の国際相場の上昇を受けて、台湾の業者の輸入コストも上昇している。しかし小売業者は、景気低迷による需要の弱まりから商品価格への転嫁をしぶり、さらには特売セールを強化している状態だという。
ただ、ガソリン価格やガス価格は上昇しており、また購買力が落ちているため、物価の下落を体感できない消費者も依然少なくないもようだ。
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