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教科書を脱中国化、教育部通知で波紋


ニュース 社会 作成日:2007年7月23日_記事番号:T00001647

教科書を脱中国化、教育部通知で波紋


 小中学校の教科書で使われている、歴史上の出来事や人物、地理などに関する5,000余りの用語について、教育部が6月初旬、教科書を編集する各出版社に対し「不適切」という参考意見を通知していたことが分かった。教科書の記述で台湾と中国を明確に区別する狙いとみられ、中国国民党(国民党)や野党支持のメディアは「脱中国化、文字上の台湾独立推進(楊渡国民党文化伝播委員会主任委員)」と猛反発している。

 「不適切用語」は教育部の委託を受けた台湾歴史学会がまとめたもので、現行の教科書記述の問題点として、◆非客観的な歴史判断◆自ら「地区」と矮小化する・主体意識が不明確◆中国を「我が国」と呼ぶなど、中国に対する呼称が歴史的事実と政治的現実を反映していない◆台湾と中国大陸で異なった政権が存在した時代の、中国の地名や王朝、特定の人物に国名(中国)が明示されていない◆日本統治時代の台湾の人物や出来事に、清と中華民国の年号が使われている──の5点を挙げている。

 これらの問題点を踏まえて、具体的には、◆「国父孫中山先生(孫文)」から「国父」を外す◆「国民政府」と「共産党」との戦い、を「中華民国政府」と「中華人民共和国政府」との戦い、に◆「台湾地区」は「台湾」に◆「海峡両岸」は「両国」に◆「王羲之は我が国の著名な書法家」などの表記は「中国の著名な書法家」に◆日本統治時代の「民国23年」は「1934年」に◆「国字」は「中国文字」に◆「国劇」は「中国京劇」に──などに書き改めることが望ましいとしている。

馬英九氏「新たな戒厳令」

 これらは教育部としての参考意見であり強制力は持たないが、出版社からは「実際には変更しないと審査を通らないだろう」という声が出ている。国民党の総統候補者である馬英九氏は、「新たな戒厳令であり思想統制だ」と反発。国民党内では、「野党が首長をしている18県市では独自の教科書を編集すべき」などの意見も出ている。