大同電信は8日、高雄市で次世代高速無線通信規格WiMAX(ワイマックス)の商用サービスを開始した。林郭文艶・同社董事長は、台湾でのWiMAXサービス拡大に向け、今後5年間に100億台湾元(約280億円)を投じる考えを表明した。下半期は台湾および海外でもWiMAXサービスの普及が進む。既に宏碁(エイサー)が大同からWiMAXモジュール内蔵のノートパソコンを受託するなど、ノートPC業界に恩恵が予想される。9日付工商時報などが報じた。
8日、大同電信のWiMAXサービス開始の記念式典が高雄市で開かれ、陳菊市長、エイサーの林顯郎台湾区総経理、インテル台湾の陳立生総経理らが出席した(8日=中央社)
同社のWiMAXサービスは現在USBアダプタを通じたインターネット接続の提供を主としており、使い放題の月額料金はモバイルブロードバンドで799元、室内型は749元。さらに最初の月は無料で、半年間は半額の優待価格となっている。林郭董事長によると、音声およびモバイルテレビサービスについては、2010年以降に提供する計画だ。
同社は今年4月、業界の先陣を切って澎湖県でWiMAXサービスをスタートした。高雄市には既に基地局200基を設置済みで、今後は高雄県、屏東県、花蓮県でもサービスを展開する。台中地区でも来年にネットワークの敷設に着手する計画だ。 市場の観測によると、高雄県市の同社WiMAXネットワークのテストユーザー数は3,000件とみられるが、今後は年末までに1万2,000人規模にまで拡大すると予想されている。
なお、下半期は大同以外に遠伝電信(ファーイーストーン・テレコム)、威邁思電信(VMAXテレコム)、全球一動(グローバル・モバイル)、威達超舜電信多媒体(ビー・テレコム・マルチメディア)が相次いでWiMAXサービスの提供開始を計画している。各社とも当初はネット接続サービスを主とするため、低価格ノートパソコン(ネットブック)、MID(モバイル・インターネット・デバイシズ)、ネットワークカード関連メーカーがまず恩恵を受けそうだ。
ECSはQ4に発売へ
こうした状況に合わせ、大同グループ傘下の精英電脳(エリートグループ・コンピューター・システムズ、ECS)は、第4四半期にWiMAXモジュール内蔵ノートPCを発売する。WiMAX対応の携帯電話やMID(モバイル・インターネット・デバイシズ)は来年以降の発売予定だ。
また、エイサーの林顕郎台湾区総経理は、同社が既に大同電信からWiMAXノートを受注し少量を出荷していることを明らかにし、さらに▽10インチ型ネットブック▽インテルの省電力CULVプラットフォームを搭載した13.3インチ型ノート▽「e–Machines(イーマシーンズ)」ブランドのノートPC――のWiMAXノート3機種がいつでも出荷できる状態にあると表明した。
台湾以外でも、米スプリント・ネクステル、日本のUQコミュニケーションズ、露Yotaなど世界各地でWiMAXサービスの提供開始が相次いでおり、証券会社では台湾のコンピューター関連メーカーへの対応製品発注が期待できるとしている。
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