訪米中の頼幸媛・行政院大陸委員会(陸委会)主任委員は11日、中台間で締結を目指す「両岸経済協力枠組み協議(ECFA)」について、「来年の中台会談のテーマになる」と語った。年内に予定される中台トップ会談(第4回江陳会)で協議や文書の締結が行われることはないという表明で、13日付工商時報はその理由として、台湾の地位が矮小化される懸念の存在や、馬英九政権が選挙を通じて対中交流政策への民意の判断を仰ぐ必要を感じていることを挙げている。
頼主任委員は「ECFAは双方の平等が原則」と改めて強調した。締結の切迫性についての認識は変わっていない(12日=中央社)
頼主委はECFA協議を年内に行えない理由として、「経済部が依然関連テーマを研究中であるためだ。年内に中台間で交渉が始まったとしても、第4回江陳会には恐らく間に合わない」と発言した。
これについて劉徳勲陸委会副主任委員は12日、「経済部は9~10月ごろにECFA関連の準備が整うと表明している。対岸(中国)との細部についての打ち合わせが可能になるのはそれからで、同時に台湾の一般市民に対する宣伝も進めて社会的共通認識の獲得を目指す」と補足した。
頼主委の説明では、「経済部内の検討が現段階で終わっていないこと」が年内に締結できない理由だが、工商時報によると、陸委会の一部には、香港が中国との経済貿易緊密化協定を結んだことで中国への依存度が深まったように、台湾はECFAを締結すれば地位がおとしめられるという懸念が存在する。陸委会はこれに配慮して、全般的な評価報告の完成とその十分な周知実施までは、ECFA締結のスケジュールと内容について公言しない方針を決めた。
また、馬政権がこの1年余り積極的に推進してきた中国との経済交流政策に対しては、まだ選挙による有権者の判断が下されていない。ECFAは賛否の分かれるテーマで台湾内で合意は得られておらず、国民党内にも対中関係を急ぎ過ぎるとかえって支持基盤に悪影響が出かねないという懸念がある。このため、年末の地方首長選挙で民意の反応を見たい考えがあるという。
アーリーハーベスト、予定通り推進
なお、尹啓銘経済部長は「アーリーハーベスト(一部品目の早期関税引き下げ)のリストで製造業とサービス業に関連した部分は、当初の計画通り進めていく」と発言、両分野で早期関税引き下げを目指す項目ではスケジュールに遅れは生じないと強調した。
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