経済部商業司の最新の商業登記統計によると、今年3月以降、宿泊・飲食業で新規開店数が急増している。5月の失業率が過去最悪の5.82%になるなど、就職難で仕事が見つからないこと、および既に景気の底は過ぎたという判断から起業を思い立つ人が増えているためと商業司は分析している。14日付聯合報が報じた。
宿泊・飲食業および卸売・小売業は、起業の敷居が比較的低いといわれる。商業司関係者によると、経済部の営利事業登記は「公司(会社)登記」と「商業登記」に分かれているが、最近新たにオープンしている店の大部分は、営業規模の小さい「商業登記」が占めている。
商業司の統計では、宿泊・飲食業の昨年の1カ月当たりの平均新規開店数は400店余りだったが、今年は▽3月、528店▽4月、788店▽5月、689店──と目立って増えている。商業司関係者によると、宿泊業とは観光ホテル、一般旅館(民宿は含まず)、飲食業にはレストランチェーンなどへの加盟を含む。
またコンビニエンスストア、衣料品店、スポーツ用品店などに加え、インターネット上での出店を含む卸売・小売業でも、昨年1カ月平均1,700~1,800店だった新規開店数は、世界金融危機の発生で一時は約1,300店まで落ち込んだものの、今年に入り▽3月、1,840店▽4月、2,088店──と急速な回復を見せている。
起業増は1年続
台湾連鎖加盟促進協会の劉汝駒秘書長は「最近新規開店している業種は、開店資金が比較的少なく1年で回収可能な、飲食、軽食(小吃)、喫茶などに集中している」と指摘。さらに、失業率に大きな改善が見られなければ、新規開店が増える傾向は来年上半期まで続くという予測を示した。
5年以内に40%が淘汰
ただ、起業志向が高まる一方で、淘汰され廃業に追い込まれる店の数は、景気動向に関係なく一定しているようだ。
経済部の統計によると、景気が急激に冷え込む前の昨年5月も、金融危機発生後の昨年10月も1カ月当たりの廃業店数は、卸売・小売業で約1,500~1,800店、宿泊・飲食で300~400店の範囲に収まっている。
連鎖加盟促進協会の劉秘書長は、レストラン、喫茶店など中小規模の商業サービス業者のうち、5年以上営業を継続できる業者は約6割で、残りの4割は経営不振で撤退すると指摘する。その上で、起業して成功するには、事業に対する情熱だけでなく、能力、性格、専門知識、資金、技術などが必須だと強調した。
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