中国の銀行が発行するキャッシュ・クレジットカードの「銀聯カード」の台湾での利用開放が決まり、早ければ9月にも実現することになった。同カードは中国では最も広く普及している決済手段で、台湾で中国人観光客による年間の利用額は1,000億台湾元(約2,850億円)に上るという試算もあり、百貨店などサービス業界への恩恵が期待される。16日付経済日報が報じた。
銀聯カードの利用開放は、行政院金融監督管理委員会(金管会)が15日公布した改正両岸金融業務往来許可弁法によるもの。開放は昨年の中国人観光客の来台開放前から検討されていたが、1年を経て実現の運びとなった。金管会によると、台湾の決済銀行と聯合クレジットカードセンターからの申請と、聯合クレジットカードセンターと中国銀聯公司の契約を待って、台湾での利用が可能となる。技術的な問題は既に解決済みだという。
商機1千億元も
銀聯カードは、中国政府主導で2002年3月に設立された銀行間ネットワーク決済サービス会社「中国銀聯(チャイナ・ユニオンペイ)」が認定したキャッシュ・クレジットカードで、中国内外の金融機関240社余りが参加し、発行枚数は18億枚以上に達しているとみられる。現在、61カ国・地域で利用が可能なほか、日本を含む海外8カ国40余りの金融機関が同カードを発行し、仕事や旅行で中国を訪問する際に使用できる。
銀聯カードが台湾で利用可能となることで、中国人観光客の消費意欲が高まることは確実とみられる。中国信託金融控股の羅聯福副董事長は「年間200万人が来台するようになり、1人が5万元を消費するとすれば、銀聯カードにより1年間に新たに1,000億元の商機が生まれる」と楽観的な見通しを語った。
新光三越百貨信義店の李昭賢課長は「外国人旅行者は3,000元以上で消費税の還付を受けられるが、中国人観光客は還付申請ができる消費の4~5割を占め、最も消費力の強い外国人となっている。銀聯カードの開放は百貨店にとって大きなプラスとなる」と期待を語った。
銀行業界にも手数料収入
銀聯カードの開放は、銀行業界にも少なくとも年間20億元の手数料収入をもたらすとみられる。また、一般台湾人消費者も中台間の金融監督に関する覚書(MOU)締結後は、台湾の提携銀行に銀聯カードの発行申請が可能になる見通しだ。
【表】