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猫空ロープウエー、安全性に疑問符


ニュース 運輸 作成日:2007年7月23日_記事番号:T00001670

猫空ロープウエー、安全性に疑問符


 今月4日に開業したばかりの台北市の猫空ロープウエーの安全性に疑問符が投げかけられている。21日は駆動システムの故障で開業以来6回目となる運行停止を迫られたが、「故障前に異常音がしていたのに直ちに点検措置がとられなかった」「壊れた伝導軸とねじの予備を準備していなかった」など、管理のあり方に問題があるという指摘が出ている。

 7月としては過去最高の38.6度まで気温が上がった21日の午後4時50分。猫空ロープウエーは突然止まり、乗客323人が1~2時間にわたって動かないゴンドラの中に取り残された。車内にクーラー設備はなく、めまいなど体調不良を訴える乗客も出た。
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故障で閉じ込められた乗客には100元の無料チケット2枚がおわびとして渡されただけ。この対応にも批判の声が上がった(中央社)

 運行を管理する台北捷運公司によると、事故の原因は、ロープウエーの方向を転換する第1ステーション近くの、ロープ駆動タイヤのうちの一つが空気圧不足で振動し、それによってねじが緩んで折れ、駆動ベルトが切れて正常な制御ができなくなったもの。安全監視システムが稼働したため直ちに運行停止となり、1時間後に1秒1メートルの速度での緊急避難が始まり、午後7時前までにすべての乗客を退避させた。

 23日付聯合報などによると、当日午後にロープウエーのコンサルティング会社の社員が現場付近で異常音がするのを聞きつけ、運行システム担当の仏ポマ社、および建設を担当した春原営造に連絡したが、緊急点検措置はとられなかった。また、故障した伝導軸(直径16センチ)および折れたネジは交換のための備品を用意しておらず、直ちに修理ができなかった。仕方なく同日晩に伝導軸は直径18センチのものを旋盤で16センチに作り直し、ネジは台北県内の工場に緊急発注して手配した。

台北市長が謝罪

 開業以来半月の間に猫空ロープエウエーが故障や落雷で運行を停止したのは6回目、またずさんな管理も明らかになったことで、消費者文教基金会は22日記者会見を開催し、安全が確認されるまで運行を停止して全面的な点検を行うよう求めた。

 一方、カク龍斌台北市長(カクは赤におおざと)は22日、ロープウエーの管理監督に不手際があったとして謝罪するとともに、台北捷運公司の譚国光副総経理や市新建工程処の李四川処長ら7人に何らかの処分を下すことを明らかにした。また、メーカーの責任も契約に基づいて追及すると語った。

 猫空ロープウエーは13億台湾元を投じて建設され、開業以来すでに延べ34万人が利用した。しかし、自由時報によると22日は相次ぐ故障もあって、正午から午後8時までに搭乗した利用者は約1万人と、先週の日曜日から40%以上落ち込んだ。猫空一帯の観光振興を促進する交通機関として大きな期待がかけられたロープウエーは、安全運転の継続と管理のあり方の改善による信頼回復が当面の緊急課題となった。
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