中台間の観光交流の窓口機関、台湾海峡両岸観光旅遊協会(台旅会)と中国の海峡両岸旅遊交流協会(海旅会)が今月初旬の協議で、年内にも北京と台北に事務所を相互に設立することで合意した。交通部観光局は、1949年の中台分断以来、初の公的性格を備えた民間組織設置となると指摘し、中国人観光客の訪問拡大に対する中国側の積極姿勢がうかがえると期待感を示した。準公的機関の相互設置は、対立から協力へと本質的な変化を遂げる中台関係を象徴した動きといえる。20日付経済日報などが報じた。
北京を訪問した頼瑟珍交通部観光局長。日月潭(南投県)名産の紅茶を中国側への手土産に持参した(17日=中央社)
頼瑟珍交通部観光局長は、台旅会と海旅会の秘書長クラスが7月上旬に香港で会談し、中台間の窓口機関、海峡交流基金会(海基会、台湾)と海峡両岸関係協会(海協会、中国)間で調印された「中国住民の台湾観光に関する海峡両岸協議」に含まれる事務所の相互設置について初期段階の協議を行い、合意したことを明らかにした。その上で、事務所設置は単に北京で台湾観光業の広報活動を進めるためのもので、政治的な意味合いを探る必要はないと指摘した。
事務所の名称は、台旅会駐北京旅遊事務所と海旅会駐台北旅遊事務所とする予定で、旅行の際のトラブル対応や、緊急時のサポートのほか、旅行プランの提案や広報活動など、スピーディーで利便性が高いサービスを旅行客に提供したい考えだ。
観光局の職員は、これまで台旅会と海旅会の連絡は電話のみで、中国側からの情報提供はメディアや観光業者を通じて行われる状態だったが、事務所の相互設置が実現すれば直接かつ迅速に情報が得られると述べ、双方の協力による観光産業振興に期待を示した。
中国人観光客、今年60万人も
頼観光局長は先週、台旅会董事長として北京を訪問し、邵琪偉・中国国家旅遊局局長(海旅会会長)と、開放から1周年を迎えた中国人の台湾観光に関して意見交換を行った。邵国家旅遊局局長は席上、今年は少なくとも延べ60万人の中国人が台湾を観光に訪れ、その後も8%以上の成長が見込めると指摘した。
同時に訪中している旅行会社、鳳凰旅遊(フェニックス・ツアーズ)の張金明董事長も、今年台湾を訪れる中国人観光客の当初予測は延べ38万人で、来年、再来年は年間で延べ100万人を超えると楽観的な予測を示した。