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作成日:2009年7月23日_記事番号:T00016782
結婚式直前の悲劇、漬物工場で母娘が中毒死

鍋料理や炒め物に入れて食べる「酸菜」といえば、白菜やカラシナなどを自然発酵させた漬物のこと。酸菜で有名な雲林県大埤郷は「酸菜王国」と呼ばれ、生産量が台湾全体の約8割を占めるという。
張貞耀さんが経営する酸菜工場(同県水林郷)で悲劇が起こったのは、21日夜のことだった。深さ約3メートルの漬物桶の中で、漬物のカスをさらう作業をしていた妻の黄秀盆(57)さんが桶内で倒れ、母親を助けようとした次女の張恵敏(28)さんも、同じように倒れて帰らぬ人となったのだ。
調べによると死亡した2人は、漬物桶を撹拌(かくはん)したことで発酵過程で発生したガスが拡散し、それを多量に吸い込んでしまったとみられる。ガスの中には、腐った卵に似た強い刺激臭の硫化水素が含まれており、大量に吸い込んだことでショック死したようだ。後で駆け付けた長女の張恵雯さんもガスを吸い込み、こん睡状態でまだ入院中だ。
張さんの酸菜工場は食品工場の登録をしていなかったため、6月から操業停止を命じられていたが、食品添加物の検査では合格していたことから、工場内の通風が原因との見方もある。
酸菜作りのベテラン、呉錦涼・大埤郷農会総幹事は、「家族で数十年間も酸菜を作っているが、ガスが発生して死者が出るなんて聞いたことがない」と首をひねる。
呉さんの酸菜は、カラシナ100キログラムに対し塩20キロを加え、石で重しをして30~40日間発酵させる。防腐剤は入れないので、上層部は酸味を帯びた臭いにおいがするが、これは問題のガスではないとか。化学物質を加えなければ出てくる副産物は塩水と漬物のかすだけだと言う。
死亡した恵敏さんは来る8月1日に結婚する予定だった。結婚式直前の惨事に、張さんは悲しみに暮れている。