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DRAM再編、TMCと台プラの優位明確に


ニュース 電子 作成日:2009年7月23日_記事番号:T00016810

DRAM再編、TMCと台プラの優位明確に

 
 経済部は22日、DRAM業界の水平統合を目標に特定企業に最大300億台湾元(約856億円)の出資を行う「DRAM産業再生プラン」について業界向けの説明会を開催し、出資を受けるチャンスを公平に与えるためと意義を強調した。しかし、23日付工商時報によると、同部が提示した「海外メーカーからの無償での技術移転」など出資獲得の4条件を満たすのは、現時点で政府主導で設立予定のTMC(Taiwan Memory Company)1社のみだ。来年初頭までに最大2陣営にまとめるとする政府構想の下、TMC以外ではインテルによる出資観測が報じられた台塑集団(台湾プラスチックグループ)陣営が有利という見方が強まっている。
 
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 杜紫軍・経済部工業局長はDRAM再生プランについて、「産業再編の責任を負うもので、現在の6社体制が来年になっても1~2陣営に再編されていないことがないよう望む」と語った。また、同プランの方針と一致できない企業は独自路線をとることができるとし、「政府が出資することはなくとも、研究開発(R&D)費の補助などで支援は可能」という見解も示した。

 TMCについては、エルピーダメモリとの提携方針に変更はなく、TMCの核心技術確保を目的とした政府によるエルピーダへの出資比率は9.5%となる予定だと明らかにした。また、TMCと台プラグループに対し、審査委員と構想の擦り合わせをするための手配を行ったことも明かした。

NANDフラッシュ技術の確保が鍵?
 
 米マイクロン・テクノロジーと提携する南亜科技、華亜科技(イノテラ・メモリーズ)の台プラ陣営は、「無償での技術移転」の1項目のみ条件を満たしていない。これについて白培霖・南亜科副総経理は「10年にわたるマイクロンとの提携で、ライセンス料などのトラブルが発生したことは一度もない」と語り、実質的に条件にかなっていると強調した。

 台プラグループには、イノテラの海外預託証券(GDR)6億4,000万~8億株の発行計画(1株暫定14.5元)で、インテルが出資を行うとの観測が出ている。実現した場合、インテルと提携関係にあるマイクロンのNAND型フラッシュメモリーをイノテラが受託生産し、技術移転を受ける可能性が浮上する。NAND型フラッシュメモリーは、台湾政府が確保を強く希望する技術で、台プラグループはDRAM再生プランで政府出資を受ける上での切り札にしたい考えがあると伝えられている。

ウィンボンドは申請見送り
 
 台プラ陣営2社以外の動きでは、華邦電子(ウィンボンド・エレクトロニクス)は、今年年初に提携パートナーのキマンダが破産しており、今回の再生プランに対し出資申請は見送ると表明している。出資獲得に意欲をみせる力晶半導体(PSC)はエルピーダと提携関係にあり、研究開発水準や台湾人材の育成など2項目のみ条件を満たしている。茂徳科技(プロモス・テクノロジーズ)、旺宏電子(マクロニクス・インターナショナル)は4条件とも合致が困難な状態だ。

国発基金、今年の資金枠60億元
 
 DRAMメーカーへの資金提供は国家発展基金(国発基金)が行うが、特別予算は組まず、一般予算を利用する。今年度予算105億元のうち、既に太陽電池産業などに投資した額などを差し引くと、残りは50億~60億元のため、DRAMメーカーへの出資は複数回に分けて行う方針だ。

 TMCは設立当初、工場を保有せず既存のDRAMメーカーの設備を利用する計画のため、資本金はそれほど必要ないとみられている。
 
【表】