中国商務部が先ごろ発表した、農村への家電普及プロジェクト「家電下郷」の上半期販売統計によると、販売された製品のほとんどが中国地場ブランドで占められ、台湾ブランドは、宏碁(エイサー)のパソコン208台、台湾桜花(サクラ・タイワン)の温水器13台にとどまった。声宝(サンポ)が1%のシェアを見込んでいた冷蔵庫や、カラーテレビは結局1台も販売できなかった。産業界やメディアから大きな期待をもって語られてきた家電下郷だが、効果を疑問視する声が出始めている。27日付電子時報などが報じた。
商務部統計によると、家電下郷プロジェクトによる今年上半期の各種家電製品の販売量は961万台で、販売額は162億3,000万人民元(約2,254億円)となった。最も販売量が多かったのは冷蔵庫で542万台、カラーテレビが184万9,000台、パソコンは約11万台だ。冷蔵庫で海爾集団(ハイアール)が37%、パソコンで聯想集団(レノボ)が44%のシェアを獲得するなど、中国地場メーカーの製品が多くの割合を占めたことが特徴だ。
エイサー、「長期的成長に期待」
25日付自由時報によると、台湾政府が分析を依頼した拓ボク産業研究所(ボクはつちへんに僕のつくり、TRI)は今年2月、「家電下郷」により今年通年のパソコン販売台数は250万台引き上げられ、台湾の自社ブランドメーカーに50億台湾元(約144億円)の商機を持たらすと予測したが、現時点ではエイサーのわずか71万人民元(341万台湾元)にとどまっている。
エイサーはこの数字について、「農村における販路やアフターサービス窓口展開に関し、地場ブランドに対抗するのは難しい」と認めたものの、「4カ年計画の端緒についたに過ぎず、長期的な発展を考えれば、農村市場について理解が深まっただけでも効果があったと言える」と強調した。
パネルメーカーへの恩恵も幻想?
上半期、家電下郷の恩恵を最も受ける業界として液晶パネルが注目を浴び、政府や企業からは「数百億元の商機が期待できる」などの声も聞かれた。
しかし統計によると、上半期に家電下郷で販売されたテレビ1台当たりの平均価格は6,000人民元(約8万3,000円)。台湾パネルメーカーの中国におけるシェアを50%とすると台湾製パネルが採用されたのは多くても92万台、テレビの生産コストに占めるパネルの比重を60%とすると、台湾パネルメーカーが上半期に家電下郷から得た売上高は約32億5,000万元となる。これはパネル大手2社、友達光電(AUO)と奇美電子(CMO)の上半期売上高2,463億元の1.32%に過ぎず、自由時報は「家電下郷の効果は誇大に宣伝されている」と批判した。
ただ、AUOの彭双浪執行副総経理は、家電下郷による上半期の液晶テレビ販売額は低かったが、販売台数は前年同期比65%成長しており、さらに農村では収穫期の秋以降がハイシーズンだと指摘し、「下半期は出荷が大きく伸びる」という予測を示した。また別のパネル業者は、中国の液晶テレビメーカーは輸出比率が高く、その多くで台湾製パネルが使用されているため、中国からの需要は大きいと強調した。
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