景気動向を示す景気対策信号が、昨年9月から9カ月にわたって続いてきた「後退」を示す「青」から抜け出した。行政院経済建設委員会(経建会)は27日、6月の景気総合判断指数が「後退懸念」の17ポイント(黄青色)に改善したことを受けて、景気低迷を脱しつつあると指摘した。「後退」から脱却できた最大の要因は民間消費動向の大幅な数値改善だが、28日付工商時報は、企業の景気回復への期待感が数値に反映した面があり、民間消費が真に回復するかは今後の動向を見守る必要があるという慎重な見方を示した。
6月の景気総合判断指数は、前月から一挙に5ポイント改善した。このうち民間消費の動向を表す卸売・小売・飲食業売上高の項目が3ポイントを貢献した。このほか、株価指数とM1B(現金通貨と預金通貨)の項目が各1ポイント貢献した。
卸売・小売・飲食業売上高指数変動率は、6月は5.8%と5月のマイナス2.5%から大きな改善を見せ、同項目の景気対策信号は後退を示す「青」から、一挙に過熱傾向を示す「黄赤」へと移行した。
卸売・小売・飲食業売上高指数は、卸売の実質売上高年成長率が6.8%だったのに対し、小売・飲食は3.3%に過ぎなかった。卸売・小売・飲食業売上高は卸売が全体の7割を占めているため、工商時報は同項目の景気対策信号の大幅好転について、在庫積み増しなど景気好転を期待する企業の動きがもたらしたものだと指摘。末端需要が本当に回復したかは、今後数カ月の民間小売業の売上高推移を見守る必要があるとした。
株価、7千ポイント台回復
陳添枝・経建会主任委員は今年3月、景気の判断材料として、株式市場、輸出受注、内需の動向を挙げた。
株式相場は27日に終値7,028.43ポイントと、今年初めて7,000ポイント台を回復。輸出受注は、6月に最大の輸出項目である、コンピューターや携帯電話を中心とした情報・通信製品の受注額が前年同期比2.87%増の67億7,200万米ドルと、今年初めてプラス成長に転じた。内需面でも6月は資本設備の輸入額が前月比31.6%増の21億8,000万米ドルとなるなど、各分野で明るさが出ている。
こうした状況から、景気対策信号が再び「後退」に戻る可能性は低いもようだ。
【図】【表】