ビジネスマンの給与や就業状況が好転傾向にある。今年1~5月の経常性給与とインフレ率を差し引いた実質経常性給与の上昇率は、共に5年来最高を記録。6月および上半期の失業率も7年来最低となった。2年前に施行された労働者退職金条例の影響が一巡した結果とみられる。
行政院主計処のまとめによると、今年1~5月の労働者の経常性給与の昨年同期比上昇率は1.46%、実質経常性給与の上昇率も0.74%と2年連続のマイナスから反転、ともに過去5年で最高となった。
経常性給与の上昇率は第1四半期が1.4%、1~4月が1.42%と上昇傾向が鮮明で、下半期はさらなる上昇が見込める。給与の上昇傾向はハイテク産業、従来型産業を問わないという。
失業率は6月は3.96%と、卒業シーズンを迎えて前月比0.09ポイント上昇したものの、昨年同月比では0.02ポイント低下した。上半期の平均失業率3.86%と合わせて過去7年で最低となった。一方、上半期の平均就労者数は昨年同期比2.05%増の1,024万9,000人で、労働参加率は58.15%と過去10年で最高だった。
こうした労働者の給与上昇と就労状況の改善については、2年前に施行された労働者退職金条例の影響が一巡したという見方ができる。
労働者退職金条例は、労働者の退職金として毎月給与の6%の積み立てを雇用主に義務付けたもので、この負担を吸収するため、企業は昇給の抑制や給与の削減、人員削減、派遣社員への切り替えなどを進めた。この結果、経常性給与は05年、06年と前の年の水準を下回っていた。
不動産・金融の好調も貢献
なお、地価上昇や株価の高騰を背景に不動産業や金融業は好景気が続いており、主計処ではこれらの業種での賃金引き上げや人材採用増が、経常性賃金の上昇や失業率の低下に貢献したという見方もしている。