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ECFA評価報告発表、「電子産業に悪影響なし」


ニュース その他分野 作成日:2009年7月30日_記事番号:T00016954

ECFA評価報告発表、「電子産業に悪影響なし」

 
 中台間で締結を目指す「両岸経済協力枠組み協議(ECFA)」の台湾経済に対する影響の評価報告が29日、経済部より発表された。ECFA締結で台湾の経済成長率が1.65~1.72ポイント押し上げられ、25万7,000~26万3,000件の就業機会増加をもたらすとの試算だ。電機・電子産業に対しては悪影響が及ぶとの指摘が出ていたが、尹啓銘経済部長は「電子製品は既に両岸(中台)とも世界貿易機関(WTO)加盟に伴いゼロ関税になっており、影響はあり得ない」と述べ、懸念払拭に努めた。30日付経済日報などが報じた。
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ECFA評価報告の発表は尹啓銘経済部長(右2)以下、3人の次長が全員列席する力の入れようだった(29日=中央社)

ECFAは発展の新たな契機

 評価報告は経済部の委託を受けた中華経済研究院(中経院)がまとめたもので、ECFA締結により製造業全体で生産額が0.73%、輸出総額が4.87~4.99%、輸入総額が6.95~7.07%増加するとの試算を示した。また、プラス効果として、▽日本・韓国など競争相手国より早く中国市場における優位を確立できる▽外国資本が中国市場へ進出する際に台湾企業を提携パートナーに選ぶ▽産業チェーンの海外流出を防げる▽中国に進出する台湾企業による台湾調達が増える▽台湾が世界の物流センターとして発展できる――の5点を挙げ、台湾に新たな発展の契機をもたらすと高い評価を下した。

 最も恩恵を受ける産業としては、▽プラスチック・ゴム▽機械▽紡織(川上・川中)▽鉄鋼▽石化・石炭――の5産業が挙げられ、締結後7年間に外国人による台湾への直接投資が89億米ドル増加するとの見積もりが示された。

 一方マイナス影響が予想される産業としては、靴類、医薬品、陶磁器・ガラス製品が挙げられた。

 注目の電機・電子業界について、経済部は「既にゼロ関税となっているため、電子業界への影響はゼロ」と発表した。中経院は経済部に対し「7.23~7.24%の生産額減少が予想され、最も悪影響を受ける」という評価を提出しており、中経院と経済部で判断が大きく分かれた形となった。なお、これをめぐっては馬英九総統も「ECFA実現に着手して5カ月になるが、電子業界から反対の声は聞かれない。もし本当に悪影響があるならば、こうしたことはあり得るだろうか」と発言し、経済部の立場を後押しした。

 しかし同日付自由時報は、「悪い面のほとんどを故意に伏せている」と経済部を批判し、「報告内容を『つまみ食い』する経済部の方法は経済学とはかけ離れている。経済学者が貿易自由化に関して良い面だけに言及することはあり得ない」とする中経院関係者の声を伝えた。
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「政治面とは関係なし」=馬総統

 29日付聯合晩報のインタビューで馬総統は、ECFA締結に向けたスケジュールについて、「来年開けに予定されている中国と東南アジア諸国連合(ASEAN)間の関税撤廃実施までには交渉を開始する」との考えを示した。また、ECFA締結は経済分野の問題であり、政治面に関係したこと言及することはなく、香港と中国が2003年に結んだ経済貿易緊密化協定(CEPA)のように、締結文書の中に「一つの中国」や「一国二制度」といった文言が盛り込まれることは絶対にないと強調した。

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