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作成日:2009年7月31日_記事番号:T00016956
クーラー天国の蘭嶼島、いくら使ってもタダ!

毎日猛暑が続くが、電気代を全く気にせずにクーラーを使用できる人々がいる。台湾本島南東の太平洋に浮かぶ島、台東県蘭嶼郷の住民約3,000人だ。ここは1人当たり平均1台と、台湾全土でクーラー密度が最も高い。しかも電気代はタダ!
先住民族タオ族が暮らすこの島が、クーラー天国になったのは8年前のこと。核燃料廃棄物貯蔵施設設置の見返りとして、台湾電力(台電)が一般住宅の電気代を全額免除にしたのだ。
台電の統計によると、蘭嶼郷1,181世帯の月平均電気使用量は2,000~3,000キロワット時(kWh)。これは台湾本島の2~3倍だというからすさまじい。中には、1カ月の電気使用量度数が1万kWhというケースも。これを夏場の電気代で計算すれば、4万~5万台湾元に相当する。
「どうせタダだから」と、住民は昼間も電灯を消さず、クーラーは外出時も点けっぱなしだ。以前はクーラーを1日中フル回転させたため、数か月で壊れてしまったケースも多かったが、今では住民も「賢く」なった。何台かのクーラーを設置し、交代で稼働させているそうだ。
昨年大ヒットした台湾映画「海角七号」の舞台となった屏東県恒春鎮も、電気代の優遇措置を受けている。ここには第3原子力発電所があるため、台電が年間1億1,000万元を地元に還元している。
恒春鎮は、これを主に電気代として住民に還元。電気メーター1台につき、1カ月140kWhの補助を出している。合法の建築物なら、階ごとにメーターを設置できるため、1世帯で数個のメーターがあるのも珍しくない。
この結果、恒春鎮の電気メーターは平均1.5人当たり1個という多さで、街中では至る所に壁に取り付けられたメーターを目にする。台湾で電気メーターの個数密度が最も高いのは恒春鎮に違いない。
世界的に二酸化炭素(CO2)削減が叫ばれる中、蘭嶼郷と恒春鎮はエコ化などどこ吹く風だ。政府が広報を強化するしかないのだろうか。