葉金川衛生署長は3日、今年12月に行われる花蓮県長選挙に出馬するため、行政院に辞表を提出し、6日付での退任が決まった。新型インフルエンザ(H1N1)で初の死者が出て、全土で集団感染が相次ぐ中、保健衛生行政の最高職を退くことには責任放棄という批判も少なくない。4日付蘋果日報などが報じた。
衛生署長辞任を発表する葉金川氏。花蓮と宜蘭県蘇澳を結ぶ「蘇花高速公路」の建設問題では、建設賛成の立場を初めて明確にした(3日中央社)
批判に対し葉署長は、「新型インフルは秋冬にはさらにまん延するとみられるが、対策システムは整っており、物資、薬物、ワクチンも豊富だ」と指摘。行政トップの交代が対策に影響を与えることはないという考えを示した。
葉衛生署長は馬英九総統が台北市長を務めていた際、副市長として補佐した。2003年の新型肺炎SARSまん延では、市衛生局長の経験者として鎮圧に当たり手腕を高く評価された。昨年、馬政権の発足に伴い総統府副秘書長に就任したが、前任衛生署長の林芳郁氏が汚染粉ミルク問題での対応不手際で辞任したため、その後を受けて転任していた。
葉衛生署長は花蓮県に本拠地を置く仏教団体、慈済基金会の会員で、同県の慈済大学で教授を務めたこともある。このため、花蓮県長への立候補は慈済基金会の支持を当て込んだものという見方も出ている。