ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

水不足問題、電子各社は備え万全


ニュース 電子 作成日:2009年8月4日_記事番号:T00017041

水不足問題、電子各社は備え万全

 
 台湾全土で雨の降らない天気が続きダムの貯水量が低下する中、経済部は3日「早ければ11日から洗車、SPAなど大量に水を使用する業者に対し、給水制限を加える可能性がある」と表明した。用水量の多い液晶パネルメーカーなど電子業界では、既に水の備蓄を開始しており、給水車の手配、排水の再利用など最悪の事態も視野に万全の準備を行っている。4日付蘋果日報などが報じた。
 
T000170411

ひび割れが目立つ石門ダム。3日北部では久しぶりの雨が降ったが、桃園地区では10分も続かず、貯水量増加にはほとんど貢献しなかった(中央社)
 
石門ダム、放水減を実施
 
 桃園、新竹および台北県西部に水を供給する石門ダムの有効貯水率は現在32.58%で、水位は223.17メートルと、最下層の取水口まで3メートルのところまで下がっている。このため既に農業用水の供給を25%減らし、民生・工業用水も10%減および夜間の減圧給水を実施している。ただ陳伸賢経済部水利署長は、「にわか雨しか降らない日がこのまま続いても、8月末に大桃園地区で農業用水の供給を止め、石門ダムの夜間の減圧給水を維持すれば10月末までは同地区の用水に問題はない」との認識だ。

 また南部の曽文水庫(嘉義県大埔郷)および烏山頭水庫(台南県六甲郷・官田郷)でも有効貯水率が合計で33%まで低下しており、南区水資源局は3日、農業かんがい用水を「10日供給、5日停止」のパターンによる供給、および民生・工業用水の夜間減圧給水の即日実施を決定した。
 
T000170412

 
パネル業者、「影響小さい」
 
 蘋果日報によると、台湾は水不足が頻発する環境にあるため、1枚の液晶パネル生産に1トンの水が必要とされるほど用水量の多い液晶パネル業界は、各社とも早くからリスク対策をとっている。

 パネル各社は工場ごとに2~3日間の生産を賄える水量を備蓄できる貯水池を設けているほか、生産過程で出た廃水は8~9割が再利用されているという。また水不足が深刻化し給水制限措置がとられても、運送会社と給水車による必要な水量の供給を受けられる契約を結んでいるため、生産に大きな影響が出ることはないとしている。

 仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)や華碩電脳(ASUS)など桃園県に本社を置くノートパソコン、マザーボードメーカーは、近年生産ラインを相次いで中国に移していることや、同県での生産が組み立てや表面実装を主とすることから水不足の影響は限られるもようだ。既にオフィスに節水設備を完備しているASUSは、「今回の水不足で特に対策を行うことはない」とコメントした。

 新竹は桃園ほど水不足の影響が深刻ではないとみられるものの、新竹科学工業園区(竹科)に本部を置く台湾積体電路製造(TSMC)は、同社幹部は「実際に給水制限が採られるまで待つのではなく、常に節水を意識し、多面的に水不足対策を進めている」と語った。同社は過去の経験から、廃水回収設備などへの投資を行い、回収率を大幅に高めている。

台風による水不足解消に期待
 
 中央気象局によると、台風8号(アジア名、モーラコット)が4日、フィリピンの東の海上で発生し、午前8時現在時速11キロのスピードで北上しており、今後西北西に進んで、8~9日ごろ台湾に影響することが予想される。進路によっては台湾に雨をもたらす可能性があり、水不足緩和への貢献が期待されている。
 
【表】