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新生高架橋、安全性に懸念?


ニュース 建設 作成日:2009年8月6日_記事番号:T00017100

新生高架橋、安全性に懸念?

 
 大規模な耐震工事が行われている台北市新生北路の高架道路、新生高架橋で、スシス・シーカ社が安全性に懸念があるとして米国で回収措置を取った瑕疵品の接着剤が、鉄筋・ボルトの補強に使われていたことが分かった。台湾各メディアは「大地震が発生した場合、高架道の断裂につながる恐れがある」(6日付自由時報)など、いずれも安全性への懸念を指摘した。台北市は台湾シーカの代表を公共危険罪で告訴し、工事を請け負う工信工程に違約金の支払いを求めた。
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最近、高鉄や台鉄、台北MRTでトラブルが頻発しており、台湾域内の交通手段の安全性には厳しい目が注がれている(5日=中央社)

 問題の接着剤はシーカ社の「Fix-4」。2006年7月に米ボストンのトンネルで起きた重さ2,700キロの天井板が落下し2人が死傷した事故で、米国家運輸安全委員会(NTSB)は同社の速乾型接着剤「Fix-3」が原因という判断を下した。シーカ米国支社は今年1月、Fix-3および遅乾型のFix-4の回収を発表した。ボストンの事故でNTSBは、速乾型のFix-3は長期間利用される公共工事での使用は不適切と指摘した。

 台北市工務局の陳晋源局長によると、Fix-4は新生高架橋の高架の支柱の耐震構造化や側壁の計17万カ所の工程で、コンクリートと鉄筋・ボルトを結合するために使用され、同工程は既に全体の8割が終了している。同市新建工程処は、残りの工事では接着剤を独ヒルティ社の「HIT RE500」に切り換えると表明した。

「郝市長発言に根拠なし」=シーカ社

 郝龍斌台北市長は、台湾シーカの告発理由について、米国支社が今年1月に台湾いたと支社に問題の接着剤を回収するよう通知したにもかかわらず、台湾支社は故意に対応せず、新生高架橋でFix-4が使用され続ける危険を招説明した。また工信工程に対し、1週間以内に補強案を提出するよう求め、その後で9月末に予定通り新生高架橋の利用を再開するかどうか決めるとした。

 郝台北市長の発言に対し、台湾シーカの張允豪総経理は、「米国支社が回収を求めた相手は米国内の顧客であり、台湾支社に回収の通知をすることはあり得ない」と語り、意図的に対応しなかったというのが全く根拠のないぬれぎぬだとして遺憾の意を表明した。

台北市工務局、「利用再開に問題なし」

 なお、台北市工務局の陳局長は、今回の問題によっても高架橋全体の安全性に影響はなく、新生高架橋の9月の末の利用再開は問題がないという認識を示した。Fix-4は新生高架橋での使用に当たり、国家地震センターのテストを受け、国際的な耐震基準を満たしていることが確認されているという。

 台北県結構技師公会の蔡栄根理事長も「ボストンのトンネルで接着剤は垂直の力が働く個所で使用されていたが、新生高架橋は水平の力の場所で構造が全く違う。また、補強工事はそれほど難しくない」と語った。

 自由時報によると、Fix-4は中山高速高路の淡水河橋のM12工事区間、苗栗~台中のM14区間、中部のM15C区間の、3カ所の橋梁工事でも使用されている。