台北市の都市交通システム(MRT)内湖線で6日、ネットワーク交換器の故障により約4時間半にわたり全線がストップする事態が発生した。内湖線のトラブル続出に、中央の行政チェック機関、監察院が郝龍斌台北市長から事情聴取を行う考えを示した。郝市長の就任以来、支柱の土壌流出問題による猫空ロープウェーの運行休止、内湖線の運行不良、新生高架橋の瑕疵接着剤使用問題と交通インフラに関するトラブルが続発しており、対応手腕にも疑問の声が上がっている。検察当局も、これら3件をめぐり違法行為が行われなかったか捜査を進める。7日付中国時報などが報じた。
開通わずか1カ月でトラブルは数知れず。週末に何度も木柵線を運休させて行ったテストは何だったのだろうか(YSN)
MRT内湖線は6日午前11時53分、東湖駅のネットワーク交換器が突然故障し、予備の交換機も作動しなかったため、運行コントロールセンターで走行中の列車からの信号を受け取れなくなり、連絡する木柵線を含めた全線で運行を停止した。この時点で31便が軌道上にあり、計2,433人がバスなどに乗り換えて目的地に向かうことになった。
内湖線、「一時運休を」
今回のトラブルについて 専門家である義守大学土木・生態工程学系の史茂樟教授は、「交換器を替えるだけなら4時間もかからない。中央コントロールシステムのソフトウエア設計が問題を引き起こした可能性が高い」と、システムそのものに深刻な問題があると指摘した。木柵線の仏マトラ社のシステムと、内湖線で採用したカナダ・ボンバルディア社のシステムとの整合性に問題が生じている恐れがあるという見方だ。
監察院の趙栄耀委員は、「内湖線の迷走はどんどん深刻化している」と厳しく批判し、台北大衆捷運公司は内湖線を一定期間運休して、完全な点検を行うことを検討すべきと提言した。郝市長はこれに対し、「システムの安定にプラスと判断すれば実施する」とコメントした。
3件とも検察が捜査へ
自由時報によると、検察は内湖線の建設過程で何らかの不正があった疑念を抱いている。工事を請け負った工信工程が業界標準よりもかなり低い価格で落札したことや、台北市がシステム変更を強行したことで予算が328億台湾元から667億元(約1,940億円)に2倍以上に膨れ上がったことを重点に捜査を行うと同紙は報じた。特捜部の陳雲南主任検察官は、「まず違法行為があったかどうかを調べ、その後で対応を決める」と語った。
また、耐震工事中の新生高架橋で、米国で回収措置が取られた接着剤が使用された問題で、検察は自主的に調査に乗り出すことを決めた。今後、関係企業や市関係者に事情を聴くという。郝台北市長は5日、同問題で製造業者を公共危険罪で告訴すると表明したが、検察は6日の業務が終了した時点では告訴書類を受け取っていないとしている。
猫空ロープウェー問題については、台北地方検察署が既に台北市工務局関係者から事情を聴いており、今後は設計、建設、環境評価審査、地層分析などが法律にのっとって正しく行われたかどうか捜査が進められるとみられる。