台風8号(アジア名・モーラコット)は中南部に記録的な雨量をもたらした。
中央気象局のまとめによると、6日午前0時から10日正午までの累計雨量は、▽阿里山(嘉義県)、2,893ミリ▽尾寮山(屏東県)、2,748ミリ▽御油山(高雄県)、2,617ミリ──と山地を中心に膨大な雨を観測し、このうち尾寮山では8日の雨量が1,403ミリと、1日当たりの観測史上最高を記録した。台湾の山地の年間の降水量は約4,500ミリで、阿里山はこの3分の2近い降水量を5日で記録したことになる。6日午前0時から10日午後5時までの主要都市の雨量は、▽高雄市、811ミリ▽台南市、740ミリ▽台北市、157ミリ──だった。
放流を行う石門ダム。その壮観さを体験しようと訪れる観光客も少なくない(8日=中央社)
今年は水不足に見舞われていたが、台風8号によって一気に解消した。桃園県や新竹県などに水を供給する石門ダムは、水位が222メートルから満水水準の245メートル近くまで上昇。8日より放流を行って水位を244メートル付近で調節した。同ダムでは、年末までは水不足の心配はなくなったとしている。
このほか、曽文ダム(嘉義県大埔郷)、烏頭山ダム(台南県官田郷)、牡丹ダム(屏東県牡丹郷)など、中南部の主要ダムは軒並み満水水準になった。台北市に水を供給する翡翠ダムは水位が6日の148.8メートルから10日午前10時の段階で158.8メートルに上昇。降雨によって約7,000万トンの水の流入があったものの、満水の170メートルにはまだ及ばず、同ダムでは現段階で調節放流を実施する必要はないとしている。