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台風8号、南部に深刻な経済被害


ニュース 社会 作成日:2009年8月10日_記事番号:T00017154

台風8号、南部に深刻な経済被害

 
 週末に台湾を縦断した台風8号(アジア名・モーラコット)による豪雨で、南部を中心に深刻な経済的影響が出ている。林園石油化学工業区(高雄県林園郷)では、台湾中油が9日、操業の安全を考慮して30%の減産措置を決定し、川下メーカーへの打撃が予想される。観光業では、ホテルが倒壊した知本温泉(台東県)や、台湾最南端のリゾート地の墾丁(屏東県)などでキャンセルが相次ぎ、10日経済日報は被害額は数十億台湾元(1元=約2.98円)に上る恐れもあると報じた。
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屏東県では海沿いの低地で建物の1階の高さまで浸水した。軍が出動して逃げ遅れた住民の救助に当たった(9日=中央社)

 台風8号は、台湾南部に過去50年で最大とされる水害をもたらした。台湾中油は9日、林園石化工業区にあるエチレン年産能力23万トン、38万トン、50万トンの第3、第4、第5ナフサ分解プラント(通称三軽、四軽、五軽)で、稼働率を70%程度に引き下げることを決めた。これにより、川下の▽東聯化学(オリエンタル・ユニオン・ケミカル、OUCC)▽国喬石油化学(グランド・パシフィック・ペトロケミカル)▽李長栄化学工業──などが稼働停止を迫られる恐れがある。また、▽台湾聚合化学品(USI)▽亜洲聚合(アジア・ポリマー)▽中国人造繊維(中繊)──などは減産で対応する。

 中油は11日に第3ナフサ設備更新計画で着工を予定していたが、同社はワイズニュースの取材に対し、着工式典は予定通り行うものの、実際の工事は状況を見ながら進めていくと回答した。なお、8日に予定していたガソリンなど石油製品の価格調整は、14日に延期した。

 工業区では、高雄県仁武郷の仁武工業区で、進出企業38社のうち20社が浸水被害を受けた。製薬メーカーの美西製薬、華盛頓製薬(ワシントン製薬)など4社の被害が特に大きく、合計数千万元の被害額が見込まれている。
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知本・墾丁の観光に影響

 観光業では、台風によって各地でキャンセルが相次いだが、温泉郷の入り口にあったホテル、金帥飯店が豪雨で倒壊した知本温泉(台東県)は、当面深刻な影響が続くとみられる。

 また、最南端のリゾート地、墾丁も、屏東県の水害によって一部の交通が不便になったこと、および心理的影響により、ホテルなどの業績への打撃が予想される。

 六福村主題遊楽園(新竹県)、剣湖山世界(雲林県)などテーマパーク業界は、台風による臨時休業で数億元規模の売上減に見込まれたもようだ。

食肉・鶏卵価格上昇も

 行政院農業委員会(農委会)の9日午後2時発表によると、台湾全土の農業・水産業の被害額は21億1,642万元に達した。うち、畜産・家きんの被害額は3億4,313億元に上った。養豚、養鶏業は中南部で盛んで、農委会では、養鶏業の被害は過去最悪規模に上ったとみている。ある業界関係者は死亡した豚は2万匹に達したとしており、食肉や鶏卵価格の大幅な値上がを予想している。

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