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福建省が新政策、台湾との経済交流に本腰


ニュース その他分野 作成日:2009年8月11日_記事番号:T00017185

福建省が新政策、台湾との経済交流に本腰

 
 訪台中の陳樺・中国福建省副省長は10日、台湾との経済交流拡大のための10項目の政策を新たに発表した。このうち、福州市沿岸で台湾から最も近い平潭島を「総合試験区」と位置付け、中台が税関特別管理区域を共同で運営し、福州市が台湾の県市や業界団体と共同で投資や建設を行う提案が最も注目を集めている。実現すれば、中台間で公的機関が連携して事業管理や投資を行う初のケースとなり、これまで低調だった台湾企業の同省への投資意欲を高める効果を期待できそうだ。11日付経済日報が報じた。
 
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陳樺副省長(中央)は10日、中国企業による初の台湾企業投資案件となった、福建新大陸電脳の台湾法人の発足式に出席した(10日=中央社)
  
 10項目の政策はこのほか、▽福建省の大型公共工事への台湾企業の参入開放▽福建省の企業に対する台湾投資奨励▽福建~台湾の旅客フェリー就航および定期運航▽両岸教育協力実験区の設立▽台湾人に対する福建省での就学、資格取得、就業、起業奨励──など。陳副省長によると、既に具体案の立案に着手しているものもあれば、北京政府の裁可を待っているものもあり、段階的に進めていく考えだ。なお、大型公共工事への台湾企業の参入開放では、▽福州第2ごみ処理発電所▽莆田湄洲湾北岸の東呉港区整備▽高速道路京台線の南平連絡線──など、具体的なプロジェクトが示された。
 
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 福建省政府の関係者は総合試験区の計画について、シンガポールと中国が共同で蘇州に設立し、シンガポール側が運営した「中国–シンガポール蘇州工業団地」をモデルにしたと説明。その上で「蘇州のように製造業を中心にはせず、エコロジー関連産業の進出を求める」と構想を語った。

平潭島を大規模開発
 
 平潭島の「総合試験区」は、中台間の初の自由貿易区、いわば両岸経済協力枠組み協議(ECFA)の実験室という意味合いがある。特別管理区域では、台湾製品に優遇関税を適用する方針が既に報じられている。

 陳副省長の訪台団に同行した陳文波・平潭県長によると、福建省は最近、島一周の環状道路や電力整備などインフラ建設10数項目を含む、平潭島開発のための32項目の政策を発表し「総合試験区」の建設に本腰を入れる構えだ。平潭島と福建省本土を結ぶ第一大橋は2010年10月に完成、島の北側と福州長楽空港を結ぶ第二大橋の建設も計画されている。

 陳県長はまた、台湾の建設コンサルティング会社、中興工程顧問が、水道、電力などインフラ設備を含む都市計画の策定から建設まで請負いたいという希望を同県に表明していることも明らかにした。新竹~平潭でのRO-RO船共同運航を福建の交通持ち株会社に提案している台湾の運輸業者もあり、実現すれば台湾までわずか2時間の航路となるという。台湾企業が既に同島を含めた「海峡西岸経済区」の将来性に強い期待を寄せていることがうかがえる。

「優遇措置が鍵」、台湾業界反応
 
 福建省の対台交流拡大の新提案に対し、張平沼中華民国全国商業総会(商総)理事長は、「台湾企業の大部分は既に大陸に投資しており、また、大陸の各省市はそれぞれ熱心な企業誘致活動を行っている。このため、台湾企業は大陸展開に当たって、どのような優遇措置を受けられるかを検討してから進出する」と指摘した。

 台湾区電機電子工業同業公会の焦佑鈞理事長も、「福建省が好ましい政策と優遇案を打ち出すのであれば傘下会員に推薦する。ただ、当会では大陸市場全体を考えるよう会員に指導している」と語った。業界団体トップのこうした発言は、福建省からより好条件を引き出そうという意図なのか、距離的に近くても福建省を特別視しないという発言そのままの意味なのか、経済日報の報道では不明だ。

投審会、「福建企業の投資は歓迎」
 
 陳副省長の10表明に対し、経済部投資審議委員会(投審会)の関係者は、「政府は現在、大陸(中国)投資の禁止項目について全般的な見直しを行っている。港湾や道路などのインフラ建設は現段階で開放していない」と語る一方、「福建企業の台湾投資は歓迎する」とコメントした。
 
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