台風8号(アジア名・モーラコット)による大規模な土石流で壊滅的な被害を受けた高雄県甲仙郷小林村で15日、初七日の法要が被災現場で行われ、親族が犠牲になったとみられる人々を悼んだ。甲仙郷公所が15日まとめた統計によると、同村の土石流による行方不明者は少なくとも491人で、戸籍人口815人の約6割に当たる。一方、無事が確認された村民は171人で、甲仙郷公所と警察では行方不明者はさらに増える可能性があるとしている。15日付聯合報などが報じた。
法要で行方不明になった家族の名前を呼びながら泣き崩れる被災者(15日=中央社)
小林村を含め、楠梓仙渓上流の同県那瑪夏郷、および荖濃渓沿いの同県桃源郷など重大な被害が発生した地域の住民からは、楠梓仙渓と荖濃渓の水を曽文ダム(台南県)へ引くため水利工事が大規模な土石流を引き起こした元凶だとして、工事の即時中止と中央政府による賠償を求める声が上がっている。
同工事は経済部水利署が212億台湾元(約611億円)を投じて2003年4月より行っており、12年に予定される竣工後は南部一帯への水の供給量が60万トン増えるという。しかし住民からは、幅6メートルのトンネルを掘るためにダイナマイトが頻繁に使われたことで地盤の緩みを招き、ここ3年は山崩れなどの被害が頻繁に発生して、工事現場から近い所ほど深刻だったという指摘が出ている。