台風8号(アジア名・モーラコット)の豪雨で、高雄県市の水源地である澄清湖ダムの水が濁って取水できなくなったため、同地区の工業園区に進出する数百社に影響し、一部で稼働停止に追い込まれた企業も出た。水道公社の台湾自来水公司は、水害で稼働を停止していた高屏渓の取水所を急きょ復旧させ、これによりきょう18日からほぼ通常通りに水を供給できていると表明した。ただ、水不足が続いた10日間、不足分を高値で購入した企業も多く、台湾での投資に嫌気が差したなどと不満の声も聞かれた。18日付経済日報などが報じた。
澄清湖ダムの取水できる水位は17日時点でわずか39センチメートルまで低下した(17日=中央社)
台湾自来水第七区管理処は、高屏渓の臨時取水所を修理したことで、1日当たり30万トンの取水が可能になった。この結果18日午前10時現在で、地域への1日当たりの水の供給量は124万トンまで回復、通常の125万トンにほぼ近い水準になったとワイズニュースの取材に対し明らかにした。
17日時点で供給量は100万トンにすぎなかったため、▽高雄県岡山鎮、燕巣郷、路竹郷、仁武郷、大社郷、田寮郷、阿蓮郷▽高雄市左営区、楠梓区──の各地区に影響が出たとしている。経済日報によると、これらの地区には鉄鋼や石油化学の集積地が含まれ、一定の影響が出たもようだ。
高値で水を確保
ステンレス大手、燁聯鋼鉄(YUSCO)の林義守董事長は、台風以降、給水量が従来の20%に落ち、既に5~6日間にわたって1トン当たり500台湾元(約1,440円)もの水を購入して対応せざるを得なかったと不満をあらわにした。水不足で稼働停止となれば1日当たりの損失額は5,000万元に達し、川下各社への製品供給も止まってしまうという。
岡山鎮、橋頭郷一帯の工業区には、▽中鴻鋼鉄▽聚亨企業▽春雨工廠▽燁輝企業▽燁興企業▽高興昌鋼鉄──などの鉄鋼メーカーが進出しており、いずれも給水量が低下した。これらのメーカーは備蓄水を活用することで、生産への影響を回避した。
楠梓輸出加工区管理処(高雄市楠梓区)によると、水圧が通常より低くなったため、半導体パッケージング・テスティング(封止・検査)最大手の日月光半導体(ASE)や、プリント基板(PCB)メーカーの楠梓電子(WUS)が台湾中油や台湾自来水から水を購入した。
仁武の被災企業、生産再開は8社
また、仁大工業区服務中心によると、同園区内の仁武工業区(高雄県仁武郷)では、製薬メーカーや印刷メーカー20社が水害に遭い、現段階で生産を再開したのは8社にとどまっている。同園区内の大社石化工業区(高雄県大社郷)は、中国人造繊維(CMFC)が生産ラインを一時停止し、大掛かりな修理を行っている。