台塑集団(台湾プラスチックグループ)と裕隆集団が、共同で発光ダイオード(LED)照明分野に進出した。台プラ傘下の南亜光電、裕隆傘下の嘉晶電子(プレシジョン・シリコン)が「趨勢照明(トレンド・ライティング)」に10%ずつ出資し、今年6月、LEDエピタキシャル基板生産の華上光電(アリマ・オプトエレクトロニクス)の元総経理、汪培値氏を董事長に迎え、製品の生産に取り組んでいく。19日付工商時報が報じた。
汪董事長によると、同社は台中県市からLED街灯約2,000本、4,500万台湾元(約1億3,000万円)相当の受注を落札、既に4月に出荷が行われた。同社は現段階では生産ラインを保有していないため主に設計を担当し、製造は提携メーカーが請け負った。今後は中国企業と合弁で、LED照明の組み立て生産ラインの立ち上げを計画している。なお特許紛争を回避するため、同社の製品には大手メーカーのLEDチップを採用する。
同社の初期の事業規模は大きくはないものの、LED照明への進出は台プラと裕隆が同分野を好感していることを意味する。
LED照明には大手企業グループの参入が相次いでいる。既に光宝集団、大同集団、友達明基集団、および台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)が進出しているほか、最近は鴻海科技集団(フォックスコン)が傘下の富士康国際(FIH)を通じ、投資額5億米ドルで中国山東省済南市に照明などLED製品の生産工場を設置することが明らかになった。聯華電子(UMC)も、同省で照明を含むLED製品の工場を設置する契約を結んだ。
「今年はLED照明元年」
市場の見通しについて汪董事長は「今年はLED照明元年だ。生産コストの低減、政府の推進方針により毎年の成長が見込める。LEDはエジソンが電球を発明して以来の照明産業の大革命といえる」と述べ、普及拡大への自信を示した。
来年の世界の照明市場の規模は、コンシューマ向け電子製品を大幅に上回る904億米ドルが見込まれている。経済部能源(エネルギー)局によると、今年の世界のLED照明市場の規模は5億米ドル以上で、今後毎年25%の成長率が期待できる。また、工業技術研究院は、2011年の段階でLED照明の市場規模は9億8,000万米ドルに達し、照明市場全体の1%を占めると予測している。
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