馬英九総統は20日、台風8号(アジア名・モーラコット)による土石流で31人が生き埋めになった高雄県六亀郷の新開部落を視察を訪れた。馬総統は「謝罪は要らない。必要なのは復興だ」と訴える被災者らを前に林俊傑六亀郷長に対し、「六亀郷への政府の救援が不十分と報じられた朝刊を見て本当に驚いた。本当にそうなのか?」と問い質した。政府の災害対応をめぐり、被災者を含む一般の台湾住民との認識の落差が浮き彫りになった形だ。21日付中国時報が報じた。
六亀郷で潘主席(右)から伝えられるの要望にメモを取る馬総統(20日=中央社)
林郷長は馬総統の質問に対し、「政府の災害対応は積極的に行われている」と答えたが、これに怒った被災者の1人が馬総統に「災害の被害への対応は政府と民間の協力が必要だ。あなたにはわれわれの部落を復興させる政策があるのか」と質問した。
馬総統は復興のスピードを上げると約束したが、続けてまたも「国軍の六亀郷での災害対応は本当に不十分なのか?本当にそうなのか?(ニュースを見て)本当に驚いた」と繰り返した。今度は誰も何も答えなかった。
馬総統が視察を終えた後、六亀郷代表会の潘星貝代表会主席は、「軍は遺体の捜索に当たってくれているが、物資と人員の輸送という点では見捨てられたも同然で、全部民間の力に頼っている」と政府の対応に強い不満を語った。軍が六亀郷に唯一行った物資の投下は、必要な即席めんやパンなどの食糧ではなく、死体を入れる袋4箱だけだったという。潘主席は「われわれに入れとでもいうのか」と皮肉った。