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台湾のナイアガラ、民間業者の違法占有時効に


ニュース 社会 作成日:2009年8月25日_記事番号:T00017456

台湾のナイアガラ、民間業者の違法占有時効に

 
 台湾鉄路(台鉄)平渓線の名所といえば、落差20メートル、幅40メートルの美しい滝、十分瀑布(台北県平渓郷)だ。「台湾のナイアガラ」という美称は多少誇張があるとはいえ、毎年多くの観光客が訪れる人気スポットとなっている。

 十分瀑布は国有財産だが、その周辺は私有地だ。周辺の土地所有者である民間業者、十分大瀑布育楽が1997年、辺り一帯を「十分大瀑布遊楽園区」として整備し、観光客から180台湾元の入園料を徴収していた。

 08年4月、十分大瀑布育楽による国有地の違法占有が発覚。基隆地方検察署によれば、同社は滝の周囲に柵を設置したことで、10年以上にわたり国有地983平方メートルを違法に占有していたという。

 ところが、刑法の国土占有罪の起訴期限は10年(現在は20年に修正)。財政部国有財産局が十分大瀑布育楽を提訴しようとしたときは、既に時効となっており、同社は不起訴処分となった。

 実は、台北県は01年に業者の違法占有を発見しながら、そのまま放置。05年には2度にわたって営業停止命令を出したが、同社に無視されていた。蔡興華・基隆地検主任検察官は、「政府機関の怠慢もここまでひどいとは」と開いた口がふさがらないようすだ。

 このほか、十分大瀑布育楽は入場券売り場など22カ所の違法建築のほか、観光業免許を持たずに入園料を徴収していたことも分かっており、台北県の管理のずさんさが明らかになった。

 林克彦・十分大瀑布育楽董事長は、不起訴になったことを意外としながらも、同園区の99%は私有地であると強調。「一日も早く営業を再開したい」と述べている。

 台北県は今後、1億元をかけ業者から滝周辺の土地3ヘクタールを買い上げ、「十分瀑布公園」を建設する方針だ。将来、観光客が無料で十分瀑布を鑑賞できるようになるなら朗報なのだが…。