中央流行疫情指揮中心は24日、新型インフルエンザ(H1N1型)感染による死亡例が新たに2例確認されたと発表した。死亡したのは彰化県の男児(6歳)と屏東県の女性(44歳)。過去4日間で3人が死亡したことになり、累計の死者数は5人となった。また、台風8号(アジア名・モーラコット)による被害を受けた屏東県で救援活動に当たる軍部隊でも5人の感染が確認されており、行政院衛生署疾病管制局の郭旭崧局長は「既に大流行期に入った」との認識を示した。25日付蘋果日報などが報じた。
他の地区より1週間早く24日に新学期が始まった台中市の学校では、感染拡大防止のため校門での体温測定が義務付けられている(24日=中央社)
タミフル耐性発現か
今回死亡が確認された2人のうち、屏東県の女性は今月17日に体調不良となり、20日に医師の診察を受けて感染が確認された。翌日治療薬タミフルが投与されたが、わずか3日後に死亡しており、ウイルスにタミフル耐性が発現したのではないかとの懸念が持ち上がっている。
これについて郭局長は、▽診察を受けたのが遅かったため投薬が遅れた▽患者の体質▽タミフル耐性の発現──などあらゆる可能性想定して原因を追究すると説明した。ただ、感染症学会の広報担当、李秉穎医師は「タミフル耐性を持った新型インフルは、現在世界で7株が見つかっているが、そのうち6株は患者の体内で突然変異したもので、耐性を持ったウイルスが人に感染したとの報告は出ていない」としている。
タミフル処方対象を拡大
新型インフルの重症例は台湾全土で累計43件に上っており、うち台北地区が19件と最も多くなっている。新型インフル感染が急速に広まっていることを受け、劉兆玄行政院長は25日、政府費用によるタミフル投与の条件を、▽集団感染が疑われる際、1人でも感染が確認された場合、全員に投与する▽新型インフルに類似した症状があり、検査で陰性の結果が出た場合でも、肺炎などを併発している場合は投与できる──と拡大することを発表した。
劉行政院長はまた、これまで人口の18%としていたタミフルの備蓄量を、30%(710万人分)まで増やすと表明した。このほか、台風による被災地で支援活動を行うボランティアや軍隊に対し、感染拡大を防ぐため避難収容所に入る際は必ずマスクをするよう指示した。
6~18歳が最も危険
楊志良衛生署長は、国光生物科技(アディミューン)が生産する新型インフルワクチンは、早ければ11月末に接種を開始できるとしている。楊署長は「6~18歳が感染の危険性が最も高い」と強調し、6歳児が2人死亡していることから「ワクチン接種は幼児を優先する」と表明した。
死者5人のうち4人には目立った病歴がなく、健康な一般人でも死に至る可能性があることを示している。これについて台湾大学医学院附設医院(台大医院)小児感染科の黄立民医師は、「重症や死亡を避けるには、診察を受ける時期が早いか遅いかが鍵となる」と指摘した。その上で▽体がだるい▽関節の痛み▽吐き気・下痢──などの症状が見られた場合、直ちに医師による診察を受けるよう呼び掛けた。
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