交通部観光局は27日、8月の来台外国人旅行者数は、台風8号(アジア名・モーラコット)の影響で主要観光地の施設や交通網が被害を受けたことから、7月に比べ10%減少、台湾人の域内旅行客も15%減少するとの見通しを示した。特に中国人観光客は7割近く減っており、観光局は9月、中国の旅行業者やメディアを台湾に招待して、大部分の観光地は被災していないことをアピールするなど、観光客の引き戻しに努める。28日付中国時報などが報じた。
阿里山に住む先住民族ツォウ族の民族舞踊。阿里山は観光業や茶葉産業に100億元に上る被害が出たと伝えられている(中央社)
損失は104億元に
観光局の統計によると、台湾を訪れる中国人は、7月末時点で1日当たり延べ2,000人にまで増えていたが、現在は約700人程度に落ち込んでいる。8~10月の観光産業の損失額は、外国人観光客の減少による損失が27億台湾元、さらに同期は台湾域内旅行のハイシーズンに当たるため、域内旅行者減による損失も59億元が予想されており、合計で104億元(約297億円、交通インフラ被害を除く)に上ると見込んでいる。
頼瑟珍観光局長は、招待する中国の旅行業者やメディアに対して、阿里山(嘉義県)など深刻な台風被害を受けた観光地の復興状況を把握してもらうほか、日月潭など大部分の観光地では安全面の問題がないこと、人気スポットだった阿里山以外にも、台南や鹿港(彰化県)などで代替可能であることを訴えたい考えだ。
頼局長によると、阿里山は短期間で原状を完全に回復することは難しいが、周辺には古い町並みの残る太平や瑞里など被害を受けなかった観光スポットもある。また、先住民族ツォウ族の民族舞踊は呉鳳廟(嘉義県中埔郷)に場所を移して行っており、特産の農産品特売会や音楽会などのイベントも予定通り実施する方針だ。
観光局はまた、香港、シンガポール、マレーシア、日本、台湾域内を対象に「災区関懐之旅(被災地思いやりの旅)」と題したキャンペーンを実施する。9月は屏東県の四重渓と墾丁、10月は知本温泉(台東県)、11月は阿里山を重点地域に指定して、台風被害が集中した南部でも観光可能なスポットが多く存在することを知ってもらいたい考えだ。
阿里山公路、原状回復には2~3年
阿里山の最も重要な幹線道路、省道18号線(通称、阿里山公路)は、被害が深刻なため、大型観光バスの通行が可能になるには2~3年が必要との見方が出ている。人気観光地への交通網を早期に回復するため交通部は、小型バスやロープウエー、徒歩などその他手段で入山できるようにする案も検討している。