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ソニーが鴻海と提携、液晶TVで韓国追撃


ニュース 家電 作成日:2009年9月2日_記事番号:T00017664

ソニーが鴻海と提携、液晶TVで韓国追撃

 
 ソニーは1日、米大陸全体に向けた液晶テレビの主要生産拠点であるメキシコ工場を、鴻海精密工業に譲渡すると発表した。今後、液晶テレビは技術開発や設計、デザインなどの業務に集中し、生産は外部委託する方針で、部品調達に強みを持つ鴻海と提携することで、サムスン電子など韓国勢に対し巻き返しを図る考えとみられる。2日付経済日報などが報じた。
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 ソニーの発表によると、同グループは鴻海に対し、メキシコ・ティファナ工場の生産関連資産、および同国子会社のソニーバハカリフォルニア社株の90%を譲渡する。従業員約3,300人を抱えるティファナ工場は米大陸全体にソニーの液晶テレビ「ブラビア」を供給する重要拠点だが、今後もこの位置づけは変わらず、工場の従業員も全員そのまま継続雇用される。

広がる韓国勢との差

 世界の液晶テレビ市場では近年、サムスン、LGエレクトロニクスの韓国ブランドの成長が目覚ましく、これまで市場をリードしてきたソニーは世界3位に後退。今年第2四半期のシェアは前期比1.3ポイント減の11.8%と、韓国勢との差が開く傾向にある。さらに昨年、世界金融危機の影響を受けて約10億米ドルの損失を計上しており、コスト削減に向け今年から液晶テレビ生産の外部委託を進めている。

 同日付自由時報は、鴻海はこれまでノートパソコン、ゲーム機などの生産をソニーから受注しており、液晶テレビでも提携パートナーとなったことは意外ではないと指摘した。

 鴻海はこれまで携帯電話分野でも、ノキアやモトローラなど大手ブランドから工場を買収し同時に生産も請け負うという手法で受注の安定につなげてきた。今回のソニーからの液晶テレビ工場譲渡も、同様の成果を生むかどうかに注目が集まる。

 鴻海は工場譲渡により米大陸のサプライチェーンに参入することで、年間の液晶テレビ出荷台数が、今年の予想出荷台数約100万台から、来年は数倍に成長するとの予測も出ている。外資系証券会社は、鴻海が今後毎年400万~600万台の液晶テレビを出荷することになれば、最高で1,000億元の売上高をもたらすとの見方を示した。
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奇美電にも恩恵

 鴻海は今後、米大陸市場向けに大量の液晶テレビ受注を獲得することになるが、傘下の液晶パネルメーカー、群創光電(イノルックス・ディスプレイ)だけでは需要を支えられないため、鴻海と関係の深い奇美電子(CMO)にもパネルを発注するとみられる。

中国販売を鴻海が担当か

 さらに工商時報によると、鴻海とソニーは中国市場でのソニー液晶テレビのシェア拡大に向け、生産、販売、アフターサービスを鴻海が請け負う「正田計画」(鴻海製品事業群の戴正呉総経理とソニー中国の永田晴康総裁の名から命名)を検討しているという。

 中国市場の発展を好感する鴻海には、最近同国3C(コンピュータ、通信、家電)流通業への進出の観測が浮上している。

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