友達光電(AUO)と奇美電子(CMO)は2日、液晶パネル前工程の対中投資規制の撤廃を政府に呼び掛け、中国進出に強い意欲を示した。中国は2011年に世界最大の液晶テレビ市場となる見通しで、業界世界2位の韓国LGディスプレイ(LGD)やシャープが相次いで中国での第8世代工場設置計画を表明している。3日付経済日報は、台湾大手は中国市場での競争で遅れをとると、世界大手5社から脱落する危機に見舞われると警告した。
AUOの楊本豫財務長は、珠江デルタ地域、長江デルタ地域、北京、天津、上海などの中国各都市が、優遇条件を提示して新世代工場の投資を働きかけてきており、既に複数の地方政府と協議に入っていると明らかにした。その上で、同社は法令を犯して中国投資を実行することはないと強調し、パネル前工程の中国投資を開放するよう政府に呼び掛けた。前工程の中国進出は、雇用を含め台湾経済に一定の悪影響をもたらすとの認識だが、台湾経済と産業にとってダブルウィンとなる案を政府とともに考えたいという意向も表明した。 楊財務長によると、AUOの液晶テレビパネルは、既に出荷全体の20%を中国向けが占めている。今後、中国液晶テレビ市場の成長に伴い、中国向けの出荷比率はさらに拡大する見通しだ。
奇美電の王志超総経理も2日、政府が規制を緩和すれば、中国での工場設置について中国側と協議に入ると表明した。現在、中国の液晶テレビパネル市場で奇美電は40%の供給シェアを有しており、今後もこの比率を維持していきたい考えだ。
中国市場、12年には供給過剰も
中国政府は5年前より、▽京東方科技▽上海広電集団▽龍騰光電(IVO)▽深超光電──など地場パネルメーカーの育成に取り組んできたが、技術水準などの問題から世界大手レベルまでには成長できておらず、現在は外資の誘致積極策に転じている。サムスン電子、LGD、シャープがこれに応じ、2012年に第8世代工場で量産に入る計画だ。
ただ、同日付工商時報は、中国市場がいかに大きくても、第8世代工場2基に見合うほどの内需は見込めないとして、中国政府が規制を設けなければ、すぐさま供給過剰に陥る恐れがあると指摘している。
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