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作成日:2009年9月7日_記事番号:T00017727
コリンが解雇手当に製品引換券、「何もないよりまし」

経営が破綻し、再建を進めている家電大手の歌林(コリン)が、従業員への解雇手当の一部として、期限付きの自社製品引換券を支給していたことが分かった。台北県労工局は、これについて「とんでもないやり方」と批判している。
コリンは今年で創業46周年を迎える老舗だが、08年に液晶テレビ事業の提携先である米シンタックス・ブリリアン(SBC)が経営破綻したことに影響を受けて経営危機に。11月に上場廃止となった後、今年3月に再建手続きに対し台北地裁の認可を受けた。
コリンが再建のために解雇した従業員は、ここ3カ月で200人を超えるが、解雇手当の8割は分割払い、しかも残り2割は自社製品の引換券による支給となった。おまけに引換券には「本人のみ使用可」、「使用期限1年」という制限まで付いている。
さらに、解雇された従業員がこの引換券を持って、コリン製品を購入しようとしたところ、エアコンや液晶テレビなどはほとんどの商品が在庫切れの状態だったという事態も起きており、従業員は「再建というのは従業員を犠牲にするという意味か」と憤る。
これについてコリンの広報担当は、エアコンや中小型サイズの液晶テレビはいずれも在庫がないことを認めたが、製品引換券での支給は労使双方が合意の上と強調。会社の苦境への理解を求めた。
台北県労工局は、雇用主が従業員を解雇した場合、30日以内に解雇手当を全額支給しなければならないとしており、同意なく支払いを拒んだり、商品で補償するような行為については、提訴できると従業員に助言している。
コリン側は、「倒産して何ももらえないよりはまし、引換券で製品を購入すれば転売することも可能」というが、期限付きでしかも在庫薄とあっては、解雇された元従業員らの憤慨に満ちた表情が目に浮かぶようだ。