日本を訪問した李登輝元総統は5日、東京都内で講演し、民主党への政権交代後の日台関係について、「民主党は台湾は日本にとって安全共同体であり、台湾がなければならないことを知っている」と述べ、民主党が自身のかつての訪日の際にビザ発給を強く主張したことを引き合いに、新政権になっても中国傾斜による「台湾切り捨て」は起こらないという見方を示した。また、中国との関係については、中国は将来に不確定性を抱えており、日本も台湾も「目の前のニンジン」に惑わされることなく、「あなたはあなた、わたしはわたし、ただしわれわれは良い友人」という主体性ある態度で臨むべきと指摘した。6日付自由時報などが報じた。
李元総統は6日は高知県を訪問。同地では、台湾で推進した民主改革が、坂本龍馬の起草による新国家体制の基本方針「船中八策」の大きな影響を受けたことを初めて明らかにした(6日=中央社)
台湾メディアから出された「どのような中台関係が理想か」という質問に対しては、「『互いにメリットのあることはする』というものだ」と回答。「中国は台湾を自国の一部分と見てはならず、台湾も中国を敵扱いしてはならない」と語った。
馬英九政権の現状については、「中国への傾斜によってゆがみが生じている。今回の台風災害への対応から見て、政権が国民の側に立っていないことが分かる」と懸念を示した。また、帰台後に400人以上が土石流の犠牲となった高雄県甲仙郷小林村を視察し、現地に犠牲者を悼むための植樹や慰霊施設を建設を行うことについて政府と協議したいという考えを示した。