欧州市場の回復、10月下旬のマイクロソフトの次期基本ソフト(OS)、ウインドウズセブン(Windows7)発売によるノートパソコン需要の高まりへの期待から、広達電脳(クアンタ・コンピュータ)、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)、緯創資通(ウィストロン)のノートPC受託生産大手3社、および大手PCブランド、宏碁(エイサー)の、第4四半期出荷台数の前期比成長予測は4社平均で13%増となった。7日付蘋果日報が報じた。
第3四半期は20%増
7~8月、既に欧州市場で購買意欲の回復が見られ、これに中国での新学期シーズン需要の高まりが加わり、ノートPC大手各社は、第3四半期の前期比出荷成長率を20%増以上と予測している。
欧州を主力市場とするエイサーは、米国でのマルチブランド戦略によるシェア拡大、中国での80~90%成長を受け、第3四半期は前期比35~40%増の成長を予測し、第4四半期はさらに10%増加するとみている。
市場調査機関IDCの統計によると、エイサーの第2四半期出荷台数は664万6,000台で、今後同社の予想通りに成長した場合、第4四半期は986万~1,023万台となり、初めて単期で1,000万台を超える可能性が出ている。
ジャンフランコ・ランチ同社総経理は、「Windows7効果がどの程度になるかは依然不明」としているが、「新学期需要は相当に力強いものとなっており、年内の景気見通しは2~3週前に比べて、大幅に明るくなった」と語った。
コンパル、通年で業界トップに
一方コンパルの陳瑞聡総経理は4日、「8月から出荷台数の最高記録更新が続き、第3四半期の成長率は10~15%から20%に上方修正、第4四半期は10%増となる」との見方を示した。
8月の出荷台数は前月比マイナスとみていたが、欧州市場の回復でプラス成長に、9月も成長率がさらに拡大する見込みだ。また、液晶パネルなどの不足で生じた出荷先送りが、第4四半期の成長をけん引するもようだ。さらに通年では最高3,500万台の年初目標を達成し、ノートPC受託業界で首位となる可能性もあると強気の姿勢を示した。
中国の人材不足、来年コスト増に
現在中国のノートPC部品工場で労働力不足が続いており、部品メーカーは利益率の高い発注のみを選んで受けている状況となっている。業界関係者によると、現在の労働力不足は、上半期の景気低迷時に削減した労働力が依然補充できていないこと、および中国政府が沿岸部と内陸部の格差是正のため内陸部開発に注力し、江蘇省昆山など台湾系電子メーカーが集中する地域での人材確保が難しくなっていることに起因しているという。
これについてウィストロンとコンパルは「当面、影響響はない」としており、中国での生産能力拡充を進める考えを示した。ただコンパルは、「来年は労働コストが上昇する恐れがあり、福利厚生を充実させて人材を確保する必要がある」としている。リスク分散のためベトナム工場計画も維持する方針だ。
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