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新経済部長に施顔祥氏、TMC計画の修正も


ニュース 政治 作成日:2009年9月10日_記事番号:T00017848

新経済部長に施顔祥氏、TMC計画の修正も


 劉兆玄内閣の総辞職を受け、10日午後、呉敦義新内閣が発足した。注目の経済部長には、今年経済部次長から台湾中油董事長に転じていた施顔祥氏が就任。「尹啓銘・前経済部長の産業政策、両岸(中台)政策を引き続き進める」と語っており、両岸経済協力枠組み協議(ECFA)の締結推進など重要政策に大きな変更はない見通しだ。ただ、台湾創新記憶体(TMC)を中心にDRAM産業の再編を目指す計画は、最も修正が加えられる可能性が高いと観測されている。10日付工商時報などが報じた。
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施顔祥経済部長。学生時代に尖閣諸島の領有権を主張する運動で行動を共にして以来、馬英九総統と交友関係が続いているという(9日=中央社)

 今回の内閣改造で、政務委員を含む40人の閣僚のうち、朱立倫行政副院長を除き新たな入閣は11人となった。経済部長以外の経済・財政部門の閣僚では、行政院経済建設委員会(経建会)主任委員に蔡勲雄政務委員が転任した。李述徳財政部長は留任した。

「六大新興産業」は継続

 劉内閣が重要施策として掲げた、観光、バイオテクノロジー、グリーンエネルギーなど「六大新興産業」について工商時報は、馬英九総統も強く支持しており、従来路線を踏襲する可能性が高いとした。

 一方、TMCについては不確定要素が最も多いと指摘した。政府による資金投入が依然行われていない上、産業界からの異論も多く、DRAM市況が回復する中、既に推進のタイミングを逸したとの批判も出ている。多くのDRAMメーカーが内閣交代を機に見直しを求めた場合、民意重視を標榜する呉内閣があくまで既定路線を堅持するのか注目される。

産業界も施部長を歓迎

 経済部長に就任した施氏は、1950年生まれ、台中県出身の59歳。台湾大学化学系を卒業後、米マサチューセッツ工科大学(MIT)で化学博士を取得した。台湾中油董事長に就任するまでは、経済部中小企業処処長、煙酒公売局長、工業局長、経済部次長を歴任した。

 9日日本に滞在中していたた施氏は「ベストを尽くす」と意気込みを示した。施氏は経済部報道官を務めていた当時、「お答えできない」「ノーコメント」と答えることが多く、メディアの間で口の堅さに定評があった。経済部内では手腕や決断力が高く評価されていた。人脈も豊富で、会議で機智に富んだ発言で場の雰囲気を和らげたりすることから人柄がうかがえる。

 施経済部長の就任に対し産業界からは、「経済政策に変更が許されない現在、内閣はよい手を打った」など好意的な反応が相次いで示された。

「アイデアマン」、蔡・新経建会主委

 経建会主委に就任した蔡勲雄氏は、彰化県出身の68歳。台湾大学法律系を卒業して経建会に入り、米プリンストン大学で都市計画学の博士号を取得。その後、環境保護署長や経建会副主委を歴任している。国土計画の専門家で、李登輝総統時代には1坪6万台湾元の低価格住宅を提案するなど「アイデアマン」との評価を受けている。

 この他、新たに就任した主な閣僚は、▽江宜樺内政部長(前職、行政院研究発展考核委員会主委)▽楊進添外交部長(インドネシア駐在代表)▽高華柱国防部長(行政院国軍退除役官兵輔導委員会主委)▽呉清基教育部長(台北市副市長)──など。
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