台塑集団(台湾プラスチックグループ)が、ベトナム北中部ハティン省に、麦寮港(雲林県)の1.5倍で同国最大の深水港となるソンズオン港の建設を進めている。同地で建設中の大型一貫製鉄所に対し、原料供給や製品輸出の役割を担う専用港としての役割を果たす。同地では石化基地の建設も視野に入っており、将来、製鉄所、石化プラント、深水港が一体となった台プラの東南アジアの大型拠点となる見通しだ。14日付工商時報が報じた。
ソンズオン港は、ベトナム初の深水港として2001年2月に開業したブンアン港の付近で建設を進めている。全体面積1,500ヘクタール、水深24~27メートルで、幅400メートル、長さ6,748メートルの水路を持たせる。年間の貨物取扱量は最大1億1,900トンを予定しており、ばら積み港として東南アジアで最大規模、世界でも上位20位以内に入る見通しだ。投資額は400億台湾元(約1,115億円)以上に上ると見込まれる。
台プラは同地で製油所とナフサ分解プラントの一貫石油化学基地の建設も検討しており、製鉄所用地1,700ヘクタールに対し、石化基地は1,400ヘクタールとなっている。台プラの麦寮の石化プラントは2,100ヘクタールで、台プラがハティン省をグループの大型拠点にしようと計画していることがうかがえる。ソンズオン港は石化基地の建設を見越して、超大型タンカーも入港できるようにする。
台プラのベトナム大型製鉄所投資計画は2期に分けて進められている。第1期は80億米ドルを投じてソンズオン港を建設した上で、年産750万トンの第1高炉を12年までに稼働させる。第2期では70億米ドルを投じて同規模の第2高炉を13年までに建設する。
日系に製鉄所設備受注の可能性
14日付蘋果日報によると、台プラはベトナム政府が年末までに製鉄所用地の2回目の引き渡し行う場合、来年2月までに設備メーカーと発注契約を締結したい考えだ。発注額は約1,500億元を予定しており、現段階ではドイツまたは日本のメーカーが選ばれる可能性が高いという。
なお、第1期の投資額80億米ドルのうち6割は設備コストが占め、残り4割がソンズオン港の建設を含む土木・基礎建設だ。土木基礎建設は、中鼎工程や工信工程など台湾の建設業者が請け負う可能性が高いもようだ。
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