中台間で両岸経済協力枠組み協議(ECFA)の交渉開始が待たれる中、台湾自動車各社がECFA締結後の中台市場での事業展開の準備を着々と進めている。福特六和汽車が中台分業体制の構築を推進する一方、国瑞汽車は台湾から中国への輸出の可能性を検討するなど、それぞれ独自に戦略を練っている。15日付工商時報が報じた。
中台双方の自動車業界は既に小型乗用車の輸入開放に同意している。アーリーハーベスト(一部品目の早期関税引き下げ)の対象であるため、ECFA締結により、台湾製および中国製の小型乗用車の相互の輸入に際し、上限台数以内であればゼロ関税が適用されることになる。 これにより、トヨタやホンダ、フォードなどの日米大手メーカーが一定のダメージを受けるとみられ、各社は中台交渉の推移を注視し、今後の対策を練っているという。
グループ内の協力緊密化
米のダン・モリス・アジア太平洋アフリカ担当副社長は先ごろ、「ECFA締結後は福特六和とフォード、マツダ間の協力体制をさらに緊密化させる」と発言した。福特六和は「フィエスタ」を台湾小型車市場の重点車種と考えており、フォード車の初の中台分業の対象になるとみられている。
これについて福特六和のジェフリー・ネメス総裁は、「当社は米フォードの子会社であり『ワン・フォード』コンセプトの下、コストと競争力に見合うならば、フィエスタを台湾で生産することも、中国の長安福特馬自達が生産した1,300ccおよび1,500ccエンジン搭載車種を台湾市場に導入することもあり得る」とコメントした。
一方、トヨタ車を生産する国瑞汽車およびホンダの100%子会社、台湾ホンダは、中国生産車の台湾市場導入について、現段階ではそれほどのコスト競争力がなく、同時に消費者の中国製品に対するマイナスイメージの懸念から積極的な検討は行っていないようだ。
台湾系各社も活発な動き
裕隆集団、中華汽車工業、三陽工業(SYM)、太子汽車など台湾系各社も、中台市場での地位確保に積極的に動いている。
三陽工業幹部によると、同社はECFA締結後、現代自動車と北京汽車集団の合弁メーカー、北京現代汽車が生産する台湾未生産車を台湾で販売する。また、北京現代汽車は現在韓国から輸入している現代自車種を三陽から調達することになる。車種はLAVITAとSANTA FEのSUV(スポーツ・ユーテリティ・ビークル)の2車種の可能性が最も高い。
太子汽車は、中国・奇瑞汽車(CHERY)の中小型セダン「A3」を台湾で組み立て・販売、裕隆汽車は中国・吉利汽車(浙江省)の小型車「熊猫(パンダ)」をデザイン変更の上「TOBE」の名称で年内にも台湾で発表する計画だ。中華汽車も、現在中国で人気となっている東南汽車の中型セダン「V3菱悦」の台湾販売を検討中だ。
【表】