米プライベートファンドのカーライルは16日、携帯電話キャリアの台湾大哥大(タイワン・モバイル)の株式15.5%を取得し、同社の2位株主になると発表した。17日付工商時報が伝えた。
台湾大哥大の蔡明興董事長(右2)とカーライルのZeluck総経理(左2)。海外のプライベートファンドが台湾の通信会社に出資する初のケースだ(16日=中央社)
今回の取引は、カーライルがケーブルテレビ(CATV)大手の凱擘(KBRO)を台湾大哥大に売却し、台湾大哥大がその代金を自社株と現金で支払うことで合意したため、結果的にカーライルが台湾大哥大に出資する形となった。
台湾大哥大は自社株5億8,900万株と現金約4億台湾元の総額328億元(約920億円)相当で、凱擘が保有する約100万世帯のCATV契約を買い取る。台湾大哥大はまた、カーライルの負債240億元も引き継ぐため、取引総額は568億元に達する。
契約1件当たりの譲渡金額は約5万元で、台湾CATV業界の事業譲渡史上最高となる。カーライルは3年半前に同4万2,000元で凱擘を買収しており、100億元の売却益を上げることになる。
今回の事業譲渡対象には、カーライル傘下の東森電視(ETTV)のチャンネルは含まれていない。ただ、台湾大哥大の蔡明興董事長は「将来的に東森を買収することもあり得る」と述べた。台湾大哥大の外国人持ち株比率は現在30%だが、今回の事業譲渡で45~46%に高まる。
寡占の恐れも
一方、国家通訊伝播委員会(NCC)は16日、台湾大哥大による凱擘買収で市場シェアが3分の1を超え、寡占の恐れが生じるとして、両社から事情を聴く方針を通知した。
有線テレビラジオ法は、特定のCATV業者が視聴者世帯の3分の1以上を掌握することを禁じている。これに対し、台湾大哥大は一部CATV業者への出資比率を引き下げるなどして、シェアを法定上限ぎりぎりの32%に抑えたとしている。