高雄市のホテルで中国人観光客による大量の予約キャンセルが出て、ダライ・ラマ訪台や亡命ウイグル人組織の指導者、ラビア・カーディル議長の映画上映計画に反発する中国による意図的なボイコットと指摘されている問題で、同市はこの映画の上映を10月16日から始まる映画祭、「高雄電影節」期間中ではなく、9月22日および23日に前倒しして無料上映することを決定した。これに対し中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)は、「高雄市の『一部勢力』が台湾各界と世論の反対を顧みず、事実を歪曲(わいきょく)し、民族分裂分子を美化した映画の上映にこだわることは、テロ組織に誤ったシグナルを送ることになり断固反対する」と反発した。21日付中国時報などが報じた。
陳菊市長は「中国が反対したからといって上映を中止しては、自由・人権の都市、高雄のイメージに傷がつく」と強調した(21日=中央社)
同映画の上映を巡って中国側は、台湾視察団の高雄訪問を中止させ、一般ツアーに対しても同市観光を取り止めるよう通達を出しているとされ、高雄市のホテルでは9月以降3,000室以上がキャンセルされ、業界からは上映中止の要望が出されるなど議論の的となっている。
こうした状況の中、陳菊高雄市長は19日、同市幹部を集めて会議を開き、芸術・創作の尊重、言論の自由を守る立場から、上映を決定した。ただ、観光業界の立場を考慮し、不必要な論争をいち早く終わらせたいとして、映画祭への出品リストからは外されることとなった。