鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の群創光電(イノルックス・ディスプレイ)が日亜化学工業(本社・徳島県阿南市、小川英二社長)との提携を決め、同社から液晶モニター用の発光ダイオード(LED)チップの供給を受けている。群創はこれによりヒューレット・パッカード(HP)など海外大手ブランドメーカーからLED液晶モニターの受注獲得に成功し、早ければ今年第4四半期に液晶モニターの受託製造で世界首位に躍り出る見通しだ。22日付経済日報が報じた。
群創が日亜化のLEDチップを採用して製造した液晶モニターのオファー価格は、従来の冷陰極蛍光ランプ(CCFL)採用機種と同じで、HPやデルが調達を決めた要因となった。納入が決まった機種は5~6種類に上り、群創の業績への貢献が見込まれる。
現在、液晶モニターの受託製造市場では、冠捷科技(TPVテクノロジー)、群創、佳世達科技(Qisda)が上位3社となっている。群創の今年上半期のシェアは23%と前年同期の16.7%から大幅に上昇。一方首位のTPVは今年上半期27.5%と、前年同期の28.3%からシェアを落としており、群創との差が縮まっている。
3強鼎立の局面を打開
顧客のHP、デルなどはリスク回避の必要から発注を数社に分散させており、群創が大幅にシェア拡大させる上でのボトルネックになっていた。日亜化との提携を決めたのは、製品・価格の優位性によって3強鼎立の局面を打開することが狙いだ。
証券会社によると、1枚のウエハーから生産されるLEDチップで、液晶モニター用に使用できるものは4~5割に過ぎず、残りのチップは照明用として使わざるを得ない。群創の場合、液晶モニターに使用できないLEDチップを鴻海集団に回して利用できることが、日亜化が提携を決めた理由になったという。
日亜化、バックライト市場を強化
現在、LEDバックライト市場では豊田合成が5割以上のシェアを占めて他社を大きくリードしている。日亜化にとって群創、鴻海集団との提携は、LEDバックライト市場でのシェア拡大に有効となる。また、日亜化の受託製造を請け負っている光磊科技(オプトテック)も提携の恩恵を受けるとみられる。
群創の今年の液晶モニター出荷の当初目標は3,700万台で、1~8月の実績は2,450万台。段行建・群創董事長兼総経理は先ごろ、第4四半期に第3四半期並みの出荷水準が見込める場合、通年の目標出荷台数を4,000万台以上に上方修正する考えを示していた。
【図】