中国福建省の張昌平副省長は17日、中台間の金融監督のための覚書(MOU)の締結が実現した段階で、台湾元と人民元の交換が可能な区域を現行の福州、アモイなど5都市から全省へと拡大する考えを示した。同省は中台間の金融サービスセンターとして、台湾元を含むオフショア金融業務の展開、中台通貨決済メカニズムの確立、中台貿易の人民元による決済など、中台金融交流のテスト地としてさまざまな計画を推進する構えだ。28日付工商時報などが報じた。
張副省長の発言は、中国が中台の経済交流拠点として推進する「海峡西岸経済区(海西特区)」の進行状況について説明する記者会見で行われた。張副省長は「海西特区建設がスムーズに進むかどうかは福建・台湾の金融協力の進展にかかっている」と強調した。
福建省では2003年4月に福建商業銀行と台湾の銀行22行との間で直接送金業務が始まり、同6月に同省福州、泉州、漳州、莆田、アモイの5都市の中国銀行で試験的に台湾元の交換業務が開放され現在に至っている。
これまでのところ台湾元から人民元への交換は7億3,000万台湾元(約20億円)、人民元から台湾元は2,809万台湾元となっている。
また、今後福建省は、▽銀行・証券・保険業者による拠点の相互設置▽台湾金融機関による福建企業への出資▽福建省の金融機関による台湾拠点設置推進▽中台証券取引市場の設立▽中台間での銀聯カード普及促進──に注力するとの考えを示した。
7つの経済交流プランを先行推進
張副省長はさらに、中台の経済交流で中国の他地域に先駆けて実施する、7項目のテストプラン推進を明らかにした。7項目は金融センターとしての役割のほか、▽中台協力の枠組み強化▽中台経済貿易提携の緊密化▽中台文化交流の強化▽中台旅行圏の確立▽中台直接往来の拠点▽中台交流の特色あるプラットフォーム構築──。この中には、自由貿易区としての平潭島開発や、省内大型公共工事への台湾企業の参入、福建・台湾の旅行業者によるツアーの共同企画、福建省の通行証・ビザ発給機関の台湾事務所設置、学歴の相互承認などが含まれる。
陳樺同省副省長によると、今年1~8月、台湾企業による同省への投資は29%成長しているほか、台湾との貿易額も41億米ドル(うち台湾からの輸入32億米ドル)に達している。今回の記者会見は北京国慶新聞中心の副主任が企画、国務院台湾事務弁公室(国台弁)の范麗青報道官が司会を務めたことから、中国政府の同計画を重視する姿勢がうかがえる。
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