施顔祥経済部長は28日、ファウンドリーと液晶パネル前工程の対中投資について、直接投資だけでなく、中国メーカーの合併も視野に開放の範囲を検討していると明らかにした。パネル分野では間接的な形ではあるが既に中国側と交渉を開始した。今後、韓国に中国商機を奪われることのないよう、先端技術の確保を念頭に置きつつ適切な開放時期と規制緩和の条件を見極めていく構えだ。29日付経済日報などが報じた。
経済部は、現在対中投資が禁止されているパネル前工程とファウンドリーの0.13マイクロメートル以降の製造プロセスについて、直接投資の場合は規制を厳しくするものの、中国メーカーへの出資条件などは緩めに設定し、海外の投資パートナーと合同による中国メーカー合併の可能性を広げる考えだ。
施経済部長は、台湾産業界では中国メーカー合併の必要性が高まっていると指摘し、自社工場を設立するより低価格で済む上、手続きも複雑でないとメリットを挙げた。
その上で、合併を認める構想は、聯華電子(UMC)が元社員出資で2001年に設立し、年末に合併を予定する中国のファウンドリー、和艦科技の問題の円満解決を図ることが目的ではないと説明。政府は個別案件を優遇しないと公平さを強調した。
台湾企業の対中「裏口」投資には、このほかにも宝成国際集団が江蘇省昆山市政府と合弁で中国パネルメーカー、龍騰光電(IVO)を設立したとされるケースなどが挙げられており、開放後は台湾資本による中国メーカー合併の動きが表面化する可能性がある。
ナフサプラントの開放は保留
施経済部長は石油・化学産業のナフサ分解プラントの対中投資開放については、台湾中油傘下の国光石化科技(KPTC)プラント計画(彰化県大城郷)にめどがついてから検討する考えで、早くても来年第2四半期以降になると語った。
この方針は、台湾での雇用機会確保を優先する考えが基になっている。失業率が8月6.13%と過去最悪を更新し続ける状況の下、既定計画である国光石化と、台塑集団(台湾プラスチックグループ)の第6ナフサ分解プラント(六軽)第5期拡張計画(雲林県麦寮工業園区)を推進すれば、数万人規模の就業機会を創出できると意義を強調した。
さらに、ナフサ分解プラントの場合は技術的な問題がないものの、台湾が1基設置すれば、中国も負けじと1基設置する可能性があり、需給バランスに悪影響を与えると指摘した。
ECFA、10月から交渉望む
中台間で締結を目指す両岸経済協力枠組み協議(ECFA)については、来年初めの締結を目指し、10月中旬から下旬にかけて、正式な交渉に入りたいとの考えを示した。産業別では、機械や紡織は早期に対象に含み得るが、フランチャイズチェーンや金融、通信などのサービス業は努力目標だと語った。
中国資本の台湾投資、年内に拡大も
施経済部長によると、中国資本による台湾投資は6月末、製造業、サービス業、公共建設に関する計192項目が開放されたが、投資案件は現段階で10件にとどまっている。施経済部長は、早ければ年内に第2段階として、中国の関心度が高いとされるパネル、半導体、建設などの分野の開放を検討していることを明らかにした。
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