行政院労工委員会が7月30日発表した職業別月給調査によると、1位の「パイロットおよび管制員」(20万8,142台湾元)をはじめ、上位20職種のうち17職種までが前年比で平均月収を減少させていることが分かった。31日付蘋果日報が行った電話アンケート調査(サンプル数311)では、全体の72.6%が「今後の昇給に悲観的」と回答しており、「給料の上がらない時代」を反映する結果となった。
調査は昨年7月時点のもので、上位20位の職業に就いている者は全土で62万人、就業人口の13%に当たる。
上位では、保険会社で商品設計や料率の計算・設定などを担当する「精算士」(13万5,056元)が前年の12位(7万2,625元)から2位に急上昇したのが目を引いた。 労工委員会によると、これは前年度調査では、精算士の試験に合格していない保険会社の業務担当者も含めて計算していたためで、今回は精算士に絞った結果、高い数値になったという。
また、専門的知識・技術を必要とし、リスクの高い職業である、鉱石・金属溶錬工(5位、10万362元)、船舶管理者(船長・4位、10万6,465元)、石油精錬工(9位、7万5,017元)、原油処理工(10位、7万1,046元)などはそれぞれ上位にランクインした。
3位は医師で、ランキングは前年と変化なしだが、平均月収は12万5,090元と前年比で約4,500元減少した。かつて医師と並んで人気の資格職業だった弁護士と会計士は凋落傾向が強まった。会計士(8位、7万9,337元)は、ランキングで前年の4位から4ランク後退、平均月収は約2万1,000元の下落となった。弁護士の平均月収は前年度の約8万5,000元から約6万元に下落、ランキングも6位から21位へと大幅に後退した。
31日付蘋果日報は、「医師も薄利時代に入り、人気ダンサーの方が月収が多い」(柯文哲台大医院外科加護病棟主任)、「毎年新たに弁護士になる人が多すぎ、事務所で雇用される新人弁護士の月収は5万~6万元にしかならない」(劉昌崙聯大法律事務所弁護士)、「ストレスとリスクの多い辛い仕事で、平均月収8万元は割に合わない」などといった、「先生」たちの苦衷の声を伝えている。
なお、1位のパイロットも、「台湾の賃金水準は国際市場の半分で、高いとは感じられない」(中華民国民航機師公会)ということだ。
低賃金層でも月収減少
職種別賃金ワースト20位の就業人口は43万人、全体の7%に当たる。平均月収が低いワースト1位は飲食店店員で、最低法定賃金を下回る1万4,407元だが、これも前年度比で約2,000元低くなっている。1位のパイロットとは14.4倍の開きがある。
ワースト20位の職業は、ガソリンスタンドの店員やれんが製造工など、専門性が低いことが特徴だ。20職種のうち14職種で、前年比で平均月収が減少している。