鴻海科技集団(フォックスコン)傘下の液晶パネルメーカー、群創光電(イノルックス・ディスプレイ)が、同業の統宝光電(トポリー・オプトエレクトロニクス)を合併する。両社ともにノキアを主要顧客としているものの供給製品が異なるため、群創はラインナップの多様化によってノキアとの関係をさらに強化できることが期待できる。合併計画は最終的な詰めの段階に入っており、早ければ来週にも確定する。2日付工商時報が報じた。
株式交換を実施、統宝は消滅へ
なお両社は、合併情報についてはコメントできないとしている。
合併は株式交換を通じて行われ、群創1株に対し、統宝6.5~8.5株を割り当てる見通しだ。1日の終値は群創が40.55台湾元(約113円)、統宝が6.78元だった。群創が存続会社となり、統宝は消滅することになる。
モルガン・スタンレーの王安亜・産業アナリストは、群創は合併によって中小型パネル市場での競争力が飛躍的に向上すると評価した。 両社がノキアに供給していた製品は、群創がアモルファスシリコン(a-Si)TFT液晶パネルと従来型のSTN液晶パネル、統宝が低温ポリシリコンTFT(LPTS)液晶パネルが中心のため重複しない。
群創は今年に入り、ノキアからの受注が大幅に拡大して全体の50~60%を占めており、中国ノーブランド向けは従来の70%から、20%ほどにまで縮小した。同社の単月の中小型パネルの出荷規模は1,000万枚以上に上る。一方統宝も月間1,100万枚の出荷のうち、ノキアに60%以上を供給している。LPTSパネルは自社の第3.5世代工場で生産し、a-SiTFTパネルは中華映管(CPT)から調達している。
「一石四鳥」と高評価
工商時報は、合併は群創にとって「一石四鳥」だと高く評価した。▽LPTSパネル供給によるノキアとの関係強化▽統宝の親会社、仁宝電脳工業(コンパル・エレクトロニクス)による制約を受けないようになること──に加え、統宝が過去数年をかけて研究開発(R&D)を重ねてきた有機ELディスプレイ(OLED)の成果が表れつつあると指摘。さらに、コンパルが中華映管の主要株主であることから、長期的には中華映管の大型パネル生産能力を利用できる可能性を挙げた。
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