発光ダイオード(LED)用エピタキシャルウエハー・チップ最大手、晶元光電(エピスター)は6日、同業の泰谷光電科技(テクコア)の第三者割当増資を引き受け、出資比率19.9%の筆頭株主になると発表した。来年以降、液晶テレビ向け需要が大幅に伸びるため、青色LEDチップの供給不足は2012年まで解消されないと予測する中、生産能力の確保が狙いだ。7日付経済日報などが報じた。
エピスターは董事会で、テクコアに対し1株16.8台湾元で計7億2,240万元(約20億円)を出資すると決議した。張世賢エピスター副総経理は6日、受注が満杯で深刻な生産能力不足に陥っているが、今後は泰谷光電に生産を委託できると語った。また、設備投資リスクや、大幅な生産能力拡張による値崩れも回避できると提携のメリットを挙げた。なお、現時点では提携の具体的な内容は決まっておらず、テクコアの合併や経営に参加する計画もないとしている。
両社合わせた青色LEDの月産能力は、来年時点で20億5,000万個に上る見通しだ。エピスターは来年上半期、LEDチップ製造に不可欠な有機金属気相成長法(MOCVD)装置を30台増やして210台とすることで、月産能力を18億個まで拡張する。テクコアはMOCVD装置を年内に3台、来年上半期に7台追加して、計34台で月産2億5,000万個が可能になる見込みだ。
サムスンへの対抗効果も
工商時報はエピスターによるテクコアへの出資について、台湾メーカー同士の水平統合は、過度な値下げ競争の防止にプラスだと指摘。さらに、LEDテレビで先行し、LED生産能力の増強にも積極的なサムスン電子に対抗するための競争力向上につながると評価した。
テクコアは6月にも第三者割当増資を実施しており、その際にはLEDパッケージング大手、億光電子工業(エバーライト・エレクトロニクス)が引き受け、現時点ではエバーライトが出資比率15.9%の筆頭株主となっている。さらにエバーライトはエピスターに7.5%を出資し、エピスターからLEDチップ封止を受注していることから、今回の出資で3社間の協力関係が強化され、LEDテレビサプライチェーンでの存在感が高まるという予測を示した。
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