聯華電子(UMC)は65/55ナノメートル製造プロセス製品の受注が好調なことから、12インチウエハー工場の稼働率が4年ぶりに100%に達した。電子製品の需要拡大によってグラフィックチップなどの受注が増加しており、12インチ工場は第4四半期もフル稼働が続くとみられる。9日付工商時報が報じた。
UMCの65/55ナノプロセス製品の価格は台湾積体電路製造(TSMC)よりやや低く、低消費電力のプロセス技術は高い評価を得ている。
スマートフォンや低価格ノートパソコン(ネットブック)など電子製品は、中国および欧米の景気刺激策や、価格の下落を要因として販売量が増加し、チップ需要も拡大した。UMCはこれによりクアルコム、マーベルからの新規受注や、テキサス・インスツルメンツ(TI)、ブロードコム、インフィニオンなどからの受注が拡大。12インチ工場がフル稼働となり、8インチ工場を合わせた平均稼働率も90%以上となった。第3四半期のウエハー出荷枚数は8インチ換算で100万枚を超えた。
第4四半期に入り、LCDドライバIC、コンシューマ製品向けICは顧客の在庫調整を受けて受注が減っているが、NANDコントローラIC、アナログIC、MCUなどの需要は依然強く、8インチ工場の稼働率は今後反落しても一定程度にとどまるとみられる。12インチ工場は、65/55ナノプロセスのグラフィックチップや3Gチップ、チップセットおよび通信機器用ICなどの需要が強いため、フル稼働が続くとみられている。
同社が8日発表した9月の売上高は95億3,500万台湾元(約262億5,000万円)で、過去23カ月で最高となった。第3四半期の売上高は274億600万元。前期比成長率は21.1%で、同社の当初予測の13~15%を大幅に上回った。
第4四半期は65/55ナノ製品の売上比率が20%に上り、45/40ナノ製品も売り上げへの貢献が始まりそうだ。
和艦合併は業界2位確保の鍵
ファウンドリー業界では、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とアラブ首長国連邦(UAE)の投資会社、アドバンスト・テクノロジー・インベストメント(ATIC)による合弁のグローバル・ファウンドリーズ(GF)が、ATICに買収されたシンガポールのチャータード・セミコンダクター・マニュファクチャリングと経営統合を図る見通しだ。これによりGFは売上規模でUMCと並ぶことになる。
9日付工商時報は、UMCが今後TSMCに次ぐファウンドリー世界2位の地位確保を望むのであれば、中国蘇州の和艦科技の合併がその重要な一歩となると指摘した。
和艦の合併は生産規模の拡大、および中国市場の深耕という2点のメリットがある。
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