パソコン買い替えブームが、空前絶後の規模で巻き起ころうとしている。金融危機からの脱出で需要が拡大に向かい、マイクロソフト(MS)のウインドウズセブン(Windows7)や次世代高速転送規格のUSB3.0、DRAMのDDR3など各種ハードウエアの新規格が脚光を浴びる中、企業によるPC調達は今後2年間で2億6,500万台に上る見通しで、台湾PC業界は多大な恩恵を期待できそうだ。経済誌「商業周刊」の最新1142号が伝えた。
市場調査機関ガートナーは、企業のPC買い替えは2010年に1億2,000万台、ピークとなる11年に1億4,500万台という予測を発表した。世界全体の出荷規模は今年の2億8,500万台から、10年に前年比12.6%増の3億2,100万台、11年は15.2%増の3億7,000万台の2けた成長が予想されている。
世界市場規模、来年3億台へ
クレディ・スイス証券アジアテクノロジー研究部のマニシュ・ニガム主管は、「2000年問題以降で最も強いPC買い替え需要が1年~1年半続く」と予測している。企業の多くが03~05年にPCを買い替えた後、07年発売のウインドウズビスタ(Windows Vista)対応機種には乗り換えていないことに加え、企業によるデスクトップ型PC使用年数は最長5年、ノートPCは4年であることから、10年には必ず買い替えの必要が生じるとみているためだ。
ゴールドマンサックス証券の金文衡アナリストは、企業は不況時には真っ先にPCへの投資を控えるが、景気が上向けば最初に予算を投入すると指摘し、「今後これほど大きなPC市場の成長原動力は見られない」と強調する。また、誕生から18年たった00年にやっと1億台、06年に2億台を突破したPC世界市場は、華碩電脳(ASUS)が市場を開拓した低価格ノートPC(ネットブック)の登場で、PCの使われ方が企業や家庭での従来の「共用」から携帯電話と同様の個人専用の「私用」となったことで、今後の大幅成長が期待できると好感している。
技術先行で優勢に
PC買い替えを先導すると見込まれるWindows7の登場で、PCメーカーにとどまらず、タッチパネル関連メーカーも成長が期待される。台湾で業界他社に先駆けマイクロソフトの認証を受けたタッチパネル用コントローラーなどを開発する禾瑞亜科技(EETI)は第4四半期、ノートPC3~5機種に採用され、来年1億6,000万台湾元(約4億4,000万円)の売上貢献が予想されている。IC設計の義隆電子(ELAN)は華碩電脳(ASUS)、デルに続き、聯想集団(レノボ)、宏碁(エイサー)からの受注獲得の観測が出ている。
コンシューマ向け超低電圧(CULV)プラットフォームのノートPCやオールインワン(モニター一体型)タイプなど新しいカテゴリーで新機種発売が相次いでいることも、ノートPC用バッテリー大手、新普科技(シンプロ・テクノロジー)や、ヒンジ世界最大手の新日興などに好材料だ。
USB3.0では、米フレスコ・ロジックと聯華電子(UMC)傘下の智原科技(ファラデー・テクノロジー)などが、DDR3では南亜科技、華亜科技(イノテラ・メモリーズ)が恩恵を受けそうだ。
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