宏碁(エイサー)が12日発表した第3四半期の連結売上高は1,670億台湾元(約4,660億円、前期比40.3%増)、営業利益は47億元(54.6%増)でともに過去最高を記録した。純利益は34億5,000万元(47.4%増)。投資事業の処分などによる業務外収益が利益の半分以上を占めていた昨年までとは異なり、今年は本業利益を大幅に伸ばしていて、ノートパソコン世界首位を目指して企業体質の強化が進んでいることがうかがえる。13日付工商時報が報じた。
エイサーはコスト改善の取り組みが成果を上げ、今年の四半期別の営業利益率は、第1四半期2.16%、第2四半期2.55%、第3四半期2.8%と段階的に上昇している。ジャンフランコ・ランチ総経理は9月、来年の営業利益率は3%台に乗り、2011年以降は4%を目指す可能性もあると語り、体質強化の推進に自信を示した。
エイサーはブランドと受託製造の分離以降、本業以外の投資事業の処分を続けており、昨年は純利益117億元のうち60数億元は投資事業の売却などによる業務外収益だった。金融危機に端を発する不景気に見舞われた今年も通年で純利益100億元を目指すが、利益構造は昨年までとは大きく様変わりしており、機関投資家から今後さらに高い評価を受けることが期待される。
Q4は10%増収見込む
王振堂董事長は第4四半期の見通しについて、ノートPCの部品不足の影響が徐々に解消しており、ウインドウズセブン(Window7)効果によって、連結売上高は前期比で10%の成長を遂げるという見通しを示した。
市場調査機関、ガートナーによると、エイサーの今年上半期のノートPC出荷台数は1,400万台で、首位ヒューレット・パッカード(HP)の1,500万台に100万台差まで迫った。証券会社の予測によるとエイサーの第3四半期のノートPC出荷台数は800万~900万台で、1~9月では2,200万~2,300万台、通年では3,000万台の大台が見込まれる。
中国でシェア10%達成へ
エイサーは12日、花旗環球証券(シティグループ・グローバル・マーケッツ)の「台湾投資カンファレンス」で、2011年にノートPC分野で世界一になるという目標を示した。
エイサーは「欧州で1位、アジア太平洋で2位、米国で3位」を目指す「123計画」の策定に着手している。注目を集める中国市場での展開について同社は、「今年末時点でシェア10%の目標は達成できる」という見方だ。上半期のシェアは8%だった。今年中国での売上高は10億米ドルに上り、営業利益率は3%以上に達すると予想している。
また、低価格ノートPC(ネットブック)「Aspire One」の販売で成功を収めた日本市場では、今後薄型ノートをさらに強化してシェア拡大を図る。現在、日本での売上高は全体の2%以下にとどまっている。
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