ノートパソコン用液晶パネル(10インチ型以上)の世界市場における第3四半期出荷シェアは、サムスン電子とLGディスプレイ(LGD)の韓国2社が60%を占め、台湾メーカーは合わせて38.4%にとどまったことが14日付電子時報の統計で分かった。パネル業者によると、ノートPC用パネル市場は、液晶テレビやモニターとは異なりブランドとパネルメーカーの結びつきが強く、台湾勢が韓国勢の優位を短期間で揺るがすことは難しいようだ。
第3四半期ノートPC用パネルの世界出荷枚数は5,298万枚で、このうち友達光電(AUO)、奇美電子(CMO)、瀚宇彩晶(ハンスター)、中華映管(CPT)、群創光電(イノルックス・ディスプレイ)の、台湾メーカーの出荷は合計2,035万枚だった。また、台湾各社のシェアは最大手のAUOでも20~21%にとどまっている。
9月単月では世界全体の出荷枚数1,800万枚に対しAUOが300万枚余り、奇美電が180万枚だった。
一方、パネル出荷全体のうちノートPC用の占める割合が62~63%(08年~09年上半期)と高い比重を保つ韓国2社は、単月の出荷枚数がともに500万枚を超えており、パネル景気が最も冷え込んだ昨年12月から今年年初にかけては同市場におけるシェアを70%まで伸ばした。
また電子時報のノートPC用パネル出荷統計には、10インチ以上の低価格ノートPC(ネットブック)も含まれており、これを除けば、韓国勢との差はより一層明確となる。
ノート受託業者に権限なし
こうした状況に電子時報は、「台湾は世界シェア9割を持つノートPC受託産業を抱えるにもかかわらず、ノート用パネルで苦戦しているのはなぜか」との疑問を呈している。これについて業界関係者は、液晶パネルはノートPCの重要部品の一つであるため、ブランドメーカーが直接、パネルメーカーと価格、発注量などの交渉を行い、台湾のノートPC受託メーカーには「提案」の権限しか与えられていないことを要因として挙げた。そのため同市場は、ブランド業者との関係が良好な韓国勢の天下となっているという。
身内争いで実力低下
また同紙は、「台湾人は台湾人同士で争うことが好きで、競争に疲れて気がつけば海外企業に包囲されている」という業界関係者の言葉を紹介し、「これが台湾企業のコスト力や柔軟性を示すとの見方もあるが、コストや薄利に縛られた者の習性に過ぎない」と批判している。
さらに、韓国メディアは以前、中国と台湾企業における結びつきを「チャイワン(Chaiwan)」と称し、韓国企業に脅威となると指摘したが、同紙は「韓国は台湾メーカー同士の相互協力など実現不可能と知っており、表向き『チャイワンの脅威』を口にしているだけだ」と指摘した。
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